4 その他
4-1 政治家による事例
4-1-2002.01.17 T新聞対土佐山村議名誉毀損事件(高知)
 土佐山村議で副議長のX男のセクシュアル・ハラスメントについての報道が名誉毀損にあたるとして、新聞社と記者に33万円の支払いが命じられた事例
[裁判所] 高知地裁
[年月日] 2002(平14)年1月17日判決
[出典] 朝日・読売新聞ともに(大阪)2002年1月18日朝刊
[上訴等] 2002年9月12日高松高裁(一部変更)
[事実の概要]
 村議で副議長のX男(50)がスナックで女性職員に「サービスせよ」と言うなど限度を超えたセクシュアル・ハラスメント行為を行ったことは否定できないものの、「女性村職員にセクハラ、土佐山村議が辞職」の見出しで掲載された記事は、その一部について真実に足るとの証明ができず、X男の社会的評価を下落させた。
[原告の請求] 220万円、謝罪文掲載。
[判決の概要]
 33万円。限度を超えたセクシュアル・ハラスメント行為を行ったことは否定できないが、記事の「〔女性職員を〕店外まで追い掛けて、抱きついたところを男性職員に引き離された」という部分については、真実に足るという証明ができず、村議だった原告の社会的評価を下落させた。謝罪文掲載はセクシュアル・ハラスメント行為があったことを念押しすることになり、かえって原告の社会的評価が下落する可能性があるので棄却。
[ひとこと]
 本件は、セクシュアル・ハラスメント報道により名誉を毀損されたとする原告の主張が認められてはいるが、「原告が限度を超えたセクシュアル・ハラスメント行為を行ったことは否定できない」と認定されているので、「敗訴の事例」ではなく、本欄に掲載した。高裁では金額には変更ないが、記者は関与が薄いとして新聞社にのみ支払いが命じられた。