4 その他

4-1 政治家による事例

4-1-2002.06.28 大阪市議事件

    配偶者のいる市議X男が、特別養護老人ホームへの父親の入所等について相談に
    のっていたA女に対して3年余り性的関係を持たせたことにつき、330万円の支払
    いが命じられた事例。

[裁判所]大阪地裁

[年月日]2002(平14)年6月28日判決

[出典]判例集未登載

[事実の概要]配偶者のいる公明党大阪市議X男(60)は、特別養護老人ホームへの父親
    の入所等について相談にのっていたA女(45)と飲食店で食事をした後、酔った
    A女をホテルに連れて行き、力づくで性的関係を持ち、その後3年余り関係を強
    要した。

[原告の請求]約947万円。

[判決の概要]330万円。「A女は、X男から有形力をもって強制的に性的関係を持たさ
    れた上、その後もX男に自身の職場の異動や父親の特別養護老人ホームへの入所
    に関して便宜を図ってもらったとの負い目や、X男が市議会議員という高い社会
    的地位にある者であるとの認識に縛られた心理状態にあったことから、その意に
    反してX男の性的行為に応じていたものであり、X男は、A女の意に反している
    ことを認識すべきであったにもかかわらず、あえて多数回にわたりA女の体を触
    ったり性的関係を持ったものというべきである」。A女が性的関係を持った後に
    X男に地酒や扇子などの贈り物をしたのは「X男から見舞金名目で金を渡される
    ことに反発して行ったものと考えることが可能であり、これをもって原告の合意
    の事実を推認することはできない」。

[ひとこと]被害者心理を正しく理解した判決として高く評価できる。しかし、行為の悪
    質さと期間の長さからすれば、慰謝料にやや不満が残る。類似事案として4-1-
    1997.06.25 熊本市議バドミントン協会事件 がある。