4 その他
4-5 芸能関係者による事例
4‐5‐2004.03.19 TV局ディレクター事件(東京)
著名な元TV局ディレクターで演出家のX男(71)が、大学のゼミで講義をした後に大学生A女(21)をホテルに連れ出し、わいせつな行為を強要したことにつき、200万円の支払いを命じた事例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2004(平16)年3月19日判決
[出典]LLI/DB(L05931199)
[事実の概要]
著名な元TV局ディレクターで演出家のX男(71)は、大学のゼミで講義をした後に大学生A女(21)をホテルに連れ出し、わいせつな行為を強要した。その後A女が謝罪を要求した際、X男は回答文書の中で「あなたたちのアタマの中身はとても変わっている」などと記した。
[原告の請求]550万円
[判決の概要]
X男は、200万円支払え。「A女は当時大学生で、X男は自分が就職を希望するマスコミに影響力があると考え、心理的に抵抗できなかった。それをX男は容易に認識できた」。回答文書の内容は「社会通念上許される範囲を超えているのは明らか」。
[ひとこと]
 高裁では「A女は当時『〔X男の〕機嫌を損ねるといつまでも帰れない』という強迫観念や精神的圧迫のため、逃げたり拒否できない心理状態で、そこに誘導したX男はA女の性的自由や自己決定権を侵害した」と認定し、賠償額を一審の200万円から270万円に増額した(東京高判2004年8月30日/共同通信WEB記事)。