敗訴の事例

5-1            職場で

--1998.10.26 S協同組合事件(東京)

    慣れない飲酒を勧めたり二次会へ出席させようとすることは、宴席では行われが

ちであるという程度を越えて不法行為を構成するまでの違法性があったとはいえ

ないとされた事例。

[裁判所]東京地裁

[年月日]1998(平10)年1026日判決

[出典]労働判例75682

労働経済判例速報16997

[事実の概要]A女は、宴席において、X男やY男から慣れない飲酒を強く勧められたり、

二次会に強引に参加させられそうになったが、気分が悪くなり、X男によりタク

シーで送り届けられる途上で吐き気を催したため下車し、救急車で病院へ搬送さ

れた。

[原告の請求]300万円。

[判決の概要]棄却。「〔被告らの行為には〕強引で不適切な面があったことは否定できな

いとしても、飲酒した宴会の席では行われがちであるという程度を越えて不法行

為を構成するまでの違法性があったとはいえず、被告X男及び被告Y男に不法行

為は成立しない」。

[ひとこと]「飲酒した宴会の席では行われがちであるという程度」は、違法でない理由と

はならないであろう。本件の話ではないが、たとえば一気飲みの強制など、強者に

とっては多少の強引さのつもりでも、弱者にとっては深刻な強制となり得るからで

ある。裁判官は名前から推測すると女性。