5 敗訴の事例
5-1 職場で
5-1-2004.09.10 N派遣会社事件(東京)
 派遣社員X男が派遣先企業の女性社員に対するお茶の誘い(口頭1回、メール2回)を理由としてなされた懲戒解雇について、無効とした事例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2004(平16)年9月10日判決
[出典]労働判例886号89頁
[事実の概要]
 派遣社員X男は、派遣先企業の女性社員に対してお茶の誘い(口頭1回、メール1回)をした。派遣先企業は間接的に被告会社に苦情を申し入れたが、被告会社がその日のうちにX男に対する電話での注意ないし警告をしなかったため、X男は苦情の事実を知らないまま、翌日再度女性社員をお茶に誘うメールを送った。被告会社は、X男の2回目のメールにより派遣先会社から強く抗議されたため、同日、社内で協議の上、X男の行為が就業規則上の懲戒解雇事由に当たるとして、懲戒解雇を通告した。
[原告の請求]地位確認等
[判決の概要]
 解雇は無効。X男の行為は、口頭1回、メール2回の合計3回に過ぎず、その態様や内容自体も通常いわゆる「お茶に誘う」域をでないものと認められるから、懲戒解雇事由に当たらない。X男の行為は、自己の立場をわきまえない軽率なものではあるが、むしろ適切な対応をとらなかった被告会社の側の責任がより大きい。
[ひとこと]