5 敗訴の事例
5-1 職場で
5‐1‐2005.01.25 S社派遣添乗員事件(東京)
派遣先社員X男から意に反するわいせつ行為をされたとする派遣社員A女の主張と、A女を不当訴訟として反訴したX男の主張が、いずれも否定された事例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2005(平17)年1月25日判決
[出典]労働判例890号42頁
[事実の概要] 派遣社員A女は派遣先社員X男から、意に反するわいせつ行為をされたとして提訴。X男は不当訴訟としてA女を反訴。
[原告の請求] <本訴>X男からA女に500万円 <反訴>A女からX男に500万円
[判決の概要] いずれの請求も棄却。A女とX男の主張及び供述は全く異なる。A女がX男に送ったメールからは両人が一時は個人的に相当親しい間柄にあったことが推認され、意に反するわいせつ行為をされたとするA女の供述は信用できない。他方、A女の本訴は、男女それぞれの立場からの事実の受け止め方の違いや、時間の経過による記憶の変容によるところが大きいとも考えられ、A女がX男に対する積極的な害意または重大な過失によって本訴請求を提起したとまでは認められないので不当訴訟ではない。
[ひとこと] A女は派遣元会社に不当解雇されたとも主張し、これについては客観的な合理的理由を欠くとして年収1年分と慰謝料が認められた。