敗訴の事例

5-2           教育の場で

--1999.06.08 G短大名誉毀損事件控訴審(神奈川)

専任講師A女が、教授X男のセクシュアル・ハラスメント行為を目撃したこと等を

県教育長に書簡の中で指摘したことは名誉毀損にあたらないとした原審を覆し、

セクシュアル・ハラスメントの事実を認めることができないので名誉毀損にあた

るとして、A女に60万円の支払いが命じられた事例。

[裁判所]東京高裁

[年月日]1999(平11)年68日判決

[出典]労働判例770129

[評釈等]水谷英夫『セクシュアル・ハラスメントの実態と法理』(信山社・2001

[上訴等]最高裁2000627日決定(棄却)

        一審:横浜地裁川崎支部判決1998(平10)年3202-2-1998.03.20

[事実の概要]専任講師A女において、教授X男のセクシュアル・ハラスメントが真実で

あるとか、真実であると信ずるついて相当の理由があったことについては、主張

立証がない。

[原告の請求]100万円。

[判決の概要]60万円。「〔A女が〕本件書簡において指摘する〔X男のセクシュアル・ハ

ラスメント〕事実については、これを真実であると認めることはできない」。「A

女においてこれが真実であると信ずるについて相当の理由があったことについて

は主張立証がな〔い〕」。

[ひとこと]A女の分限免職処分取り消し訴訟(処分取り消しと慰謝料500万円)は、2001

215日に東京高裁で和解が成立(詳細不明)。本件原告の手記が上野千鶴子

編『キャンパス性差別事情――ストップ・ザ・アカハラ』(三省堂・1997)にある。