敗訴の事例

5-2           教育の場で

--2002.01.18 予備校事件(大阪)

解雇に過失があるとして200万円の支払いを命じたものの、セクシュアル・ハラス

メントを否定した事例。

[裁判所]大阪地裁

[年月日]2002(平14)年1月18日判決

[出典]判例集未登載

[事実の概要]予備校講師A女は、目の前で講師X男と女子生徒が抱き合う様子を見せつ

けられたことにより職場環境を害され、著しい嫌悪感情を生じさせられたうえ、

A女に対するX男の中傷を鵜呑みにした被告予備校から解雇されたと主張した。

[原告の請求]X男、予備校所長Y男、予備校に計500万円。

[判決の概要]予備校は200万円支払え。X男とY男への請求は棄却。女子生徒が数回に

わたりX男に駆け寄って抱きつき、太股付近を触ったが、X男がこれを注意して

いたことなどから、2人が「ことさらA女の存在を意識しつつ抱き合っていたあ

るいはX男が女子生徒に抱きつかれた際に女子生徒を抱き返した、また女子生徒

とX男との間に「しよう」「やろう」との会話が繰り返されていたとの各事実を

認める証拠はない」のでX男に不法行為は成立しない。X男の指導監督者として

のY男に使用者責任はない。しかし予備校には、X男とA女との対立を、両者の

対立に関与せざるを得なくなった一部の生徒とA女との対立の問題に置換えてし

まい、X男らの一方的な話のみを根拠とし、客観的な資料のないまま本件解雇事

由が存在すると判断した点に過失がある。

[ひとこと]控訴。