判例 働く女性の問題
1 賃金、昇進・昇格

1−2002.12.27 東洋水産川崎工場事件
日給月給者制度は、賃金形態の相違にもとづく雇用形態の一種であって、女性差別の制度ではないとされた事例
[裁判所]横浜地裁川崎支部
[年月日]2002(平成14)年12月27日決定
[出典] 労働判例847号58頁
[事実の概要]
採用時期は異なるが、勤続年数約10年1か月、25年10か月、15年の日給月給者3人の女性が、工場の老朽化が進んだことになどによる工場閉鎖に伴って、新しい就職先の提案などが行われたが、提案を拒否し、解雇された。この解雇は解雇権の濫用であるとして争ったなかで、日給月給制は女性を差別するためにもうけられた制度であり、公序良俗に違反し、無効であると訴えた。
[決定の要旨]
解雇権の濫用ではない。公序良俗違反ではない。
「債務者は、債権者らに対し、相模工場への転勤のために要する転居費用を会社が負担することを提案するほか、退職する場合には会社都合の退職金に基本給の2か月分を加算した割増退職金を支払うこと、会社の費用負担での再就職支援会社の利用を提案していることなどの諸般事情をも併せ考慮すれば、本件解雇は解雇権を濫用したものであることを認めることができ」ない。
「債務者においては、女性のみならず男性も日給月給者として雇用されている。……日給月給者の制度は、賃金形態の相違に基づく雇用形態の一種であり、女性を差別するための制度とは認めることはできず、債務者が、採用方法や職制等の違いに基づいて、月給者のほか日給月給者として従業員を雇用していることが、女性を差別する不当なものということはできない。」