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判例 働く女性の問題
1 賃金、昇進・昇格

1−2003.1.29 昭和シェル事件
職能資格制度のもと、男女間に著しい格差があり差別的な取扱いをしているとして、約4500万円の支払いを命じた判例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2003(平成15)年1月29日判決
[出典] 労働判例846号10頁
*この事件については、原告の野崎光枝さんが執筆
[要 約]
昭和シェル石油は、1985年昭和石油とシェル石油が合併してできた会社である。原告は、1951年昭和石油に入社、92年昭和シェル石油を定年退職した。
在職中東京都労政事務所に斡旋を依頼したが、会社は誠実な対応をしなかった。その後苦情処理委員会にも申し立てを行ったが、会社は男女差別はしていないと言った。提訴は94年3月8日、女性であるが故に標準的な同学歴・同年齢の男性社員とくらべて、資格および賃金において著しい差別を受けたため、その結果被った賃金の差額のうち、合併後の7年分の差額賃金、差額一時金、差額退職金および公的年金分等の損害賠償を求めた。
 法的根拠は、労働基準法4条(男女同一賃金原則)違反、民法90条(公序良俗)違反、民法709条に基づく不法行為による損害賠償請求権。
[事実の概要]
昭和シェル石油はコース別雇用管理ではない。男女とも同じ職能資格制度の下で資格があがることによって賃金が上がるシステムである。
しかし、会社は表向きは職能資格制度を実施しているとしながら、実際には別の基準(学歴別・年功制)により管理し、女性を制度から排除してきた。男性が30歳代前半で昇格する監督企画判定職に女性は勤続が長くても到達しない。また、同一ランク(男性のほうが年齢が若い)の定昇額でも女性は男性の内の最低の人より低い。定年時同学歴同年齢の男性と比べて賃金月額少なくても12万9550円の差があった。
[判決の要旨]
判決は、原告が訴えた資格、賃金の差別をすべて認めた。すなわち、賃金、一時金、退職金、企業年金、公的年金の未来分(差別がなかったら受けられる筈の年金)のすべてについての損害を賠償するよう昭和シェル石油に命じた。
昭和石油においては、同一学歴者のランク、同一ランクにおける定期昇給額、同一年齢者における本給額のいずれにおいても著しい格差が存する。
合併時の資格も全般に男性が女性より上位の職能資格に移行している。この資格移行にも差別性が見られる。
合併後の昭和シェル石油でも、男性が28歳までに上がる資格に女性の多くは到達できないで定年になる。
これらの格差の合理性の存在を検討すると、業務内容については同僚の男性と大きく異なるものであったとは認められない。また他の男性の業務を補助するものでもない。他の女性社員を見ても男性と同じ業務または上位の男性の後を引き継いでの業務を資格の低い女性が何ら支障もなく行っている。従って男性社員との格差は、原告の従事した業務やその職務遂行状況によって合理的に説明できるものとは言えない。むしろ昭和石油や、昭和シェル石油において、ランクおよび職能資格等級の昇格管理を男女別に実施していた結果であるとみるほかない。
労基法4条は、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いを禁止しており、使用者が専ら性別を理由として賃金に置いて差別することは社会的に容認されない違法行為である。
[ひとこと]
会社は、ただちに控訴したと聞いた。
労基法4条は1947年に制定された。会社は半世紀に亘って法律に違反していたことになるし、現在もそれは続いている。会社が変わるべき時が来たのではないか。
40年間働いて、抑えきれなかった憤りや矛盾を社会に認めてほしいと願い、女性の人権を全きものとしたいと思い続け、10年の裁判で光が見えて来たということだろうか。私の裁判が差別をなくすために少しでも役に立てばと願うのみである。
この判決を、知る限りの女性たちが、わがことのように喜び、共感を示してくれた。その共感を私自身の力として次なる高みに進もう。
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