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6 解雇
6−2001.12.18 S会U病院事件
病院の準職員(介護者・准看護婦)として1年間の雇用契約を反復更新していた原告らに対する妊娠または正規職員採用試験の不合格者を理由とする雇止めがいずれも無効とされ、雇用契約上の地位の確認および賃金支払請求が認められた事例
[裁判所]松山地裁宇和島支部
[年月日]2001(平成13)年12月18日判決
[出典] 労働判例839号68頁
[事実の概要]
準職員として被告に勤務していた原告らは、採用されて以来1年の雇用契約を2回更新したが、3回目の更新に際し、妊娠したことを、また、5回目の更新時に、正規職員採用試験の不合格を理由として、それぞれ契約更新を拒絶された。不当な雇止めであるとして、雇用契約上の権利の確認と賃金及び賞与の支払を求めた事案。
[判決の要旨]
「……ここまで確定したところによれば、雇止めまでの契約更新回数は、原告花子及び原告月子はいずれも2回、原告乙山は4回であり、その都度、契約期間を明示した契約書を作成していたものであるが、被告としては、有期契約職員の看護職員に対しては、経営の必要上、正規職員と並ぶ恒常的存在として、基幹的業務を担うことを期待すべき客観的状況が存したこと、平成7年以降には有期契約職員に適用される就業規則を明らかにして、契約を反復更新して勤務を継続する者に対して、給与その他の労働条件面で積極的に評価するまでに至ったこと、原告らの採用時には、継続雇用を期待される言動がみられたこと等の事情に照らすと、原告らの雇用期間満了後も被告が雇用を継続すべきものと期待することには合理性が認められるから、原告らと被告との契約関係には、解雇に関する法理を類推適用するのが相当である。したがって、契約期間が満了しても、いずれも当然には契約は終了しないことになる。」
「……これまで検討してきたとおり、勤続3年を越える準職員について、不合格の場合に雇止めとする本件試験制度は、契約の反復更新を積極的に評価する就業規則に反すること、3年を越えて契約更新をしないとの雇用条件を実質的に3年前に遡って準職員に強制するものであること準職員の能力、成績等の水準を維持するという観点からも合理性を欠くものであること、3年を越えて契約を継続する準職員等に対する雇止めそれ自体を目的とする試験制度であることに照らすと、本件試験制度に関するその余の点について認定判断するまでもなく、試験不合格を根拠として、期間満了による雇止めを行うことは、信義則に反し、契約の更新拒絶権を濫用したものというべきであって、無効である。したがって、この試験を受験して不合格となった原告乙山に対する雇止めは、無効となる。」
「……ところで、事業主が、妊娠や出産を退職の理由として予定したり、解雇の理由としたりすることは、解雇の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律8条2項及び3項において禁じられており、その趣旨は、機関を定めた雇用契約においても、当然に妥当するというべきであり、現に、被告においては、平成7年8月1日以降1年を越えて契約更新をした有期契約職員は育児休業を取得でき、そのことを理由として昇級等で不利益な取扱いを受けることはないとしている(〈証拠略〉)。
また、被告においては、準職員の産前産後休暇及び育児休業期間中は無給とされており(〈証拠略〉)、この機関に限って代替要員を雇う限り、被告に経済的損失は生じない。」
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