判例 働く女性の問題
6 解雇

6−2003.2.10 K会M病院事件
勤務不良を理由とする病院の介護員の雇止めが著しく合理性・相当性を欠き、権利の濫用であり、無効とされた例
[裁判所]札幌地裁
[年月日]2003(平成15)年2月10日決定
[出典]労働判例847号84頁
[事実の概要]
債権者(女性)が、債務者(M病院)との間で、3カ月試用期間ののち、1年ごとの契約懇親をするという準職員である介助員として労働契約を結んで、働いていた。債権者は3回契約を更新したが、勤務不良を理由に労働契約の期間の満了をもって、雇止めにされた。債権者はこの雇止めは権利の濫用として無効を主張した。
[判決の要旨]
一部認容・一部却下
「債権者は……何事もなければ1年ごとに契約を更新するとの説明を受け、長期雇用の期待の下に、本件労働契約を締結しており、……その後1年ごとに契約の更新が繰り返されている。このような事実からすれば、債務者のみならず債権者も本件労働契約は、……期間を1年とする有期契約との認識を有していたというべきであるから、本件労働契約は期間の定めのない労働契約である旨の主張は採用することができないし、また、本件労働契約が期間の定めのない労働契約に転化したと解することもできない。」
「債権者の勤務態度に、時として、笑顔がなく無愛想であったり、反抗的であったりといった不適切な面があったとはいえ、それらは、適切な教育、指導によって充分の克服できる課題と考えられるところであるが、債権者において、そのような教育、指導を拒んだような事情は見当たらず、また、……債権者の勤務態度が、雇止めに値するほど不良であるという具体的事実を疎明するに足りる証拠証拠はない。……
 結局、本件雇止めは、著しく合理性、相当性を欠き、権利の濫用として、無効というべきである。」
 
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