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7 パートタイム労働と派遣労働
7−2000.12.1 W(本訴)事件
7−2000.4.17事件の本訴。
[裁判所]大阪地裁
[年月日]2000(平成12)年12月1日判決
[出典]労働判例808号77頁
[事実の概要]
昭和56年春から、派遣労働者として被告会社に勤務していた原告は、同年11月、パートタイマーとして被告に直接雇用され、57年9月に出産のため退職したが、59年7月、英文タイピストのパートタイマー募集に応じて、被告会社に再度雇用された。その後、勤務時間を6時間、時間給を1700円とする期間の定めのない雇用契約が成立し、原告は15年間勤務した。被告は、平成10年12月16日、業績不振および業務量の減少を理由にパートタイマー就業規則11条7号(「会社の業務の都合により雇用の必要がなくなったとき」)に基づき11年2月末日付けで原告を解雇する旨の意思表示をした。そこで、原告は解雇の無効を主張し、従業員としての地位確認および未払賃金ならびに賞与の支払いを求めた。
[判決の要旨]
解雇権の濫用であるとして、解雇を無効とした。
「本件解雇は、被告の主張するように、経営不振を理由として行われたものではなく、いわゆるリストラの一貫として、被告の減益傾向の中で事業の転換・再構築を図るため、余剰人員化した原告を解雇したものであるところ、確かに、被告は、売上げ、経常利益の減少の中にあり、いわゆるリストラを行うこと自体は、企業としての合理的判断として相当なものであったといい得るし、また、原告が、英文タイピストとして雇用されたのに、その専門性を失い、業務量の減少の中で、余剰人員化していたことも認めることができる。しかしながら、解雇は賃金によって生計を維持する労働者にとって重大な影響を与えるものであるところ、余剰人員化したことについては、労働者に何らの責任もないのであるから、余剰人員化したというだけで解雇できるものではない。原告は、パートタイム労働者であるが、その勤務時間は、正社員より1時間30分短いだけであり、期間の定めのない雇用契約を締結した労働者であり、かつ、本件解雇時までに既に15年以上を勤務していた者であって、雇用継続に対する期待度は高く、雇用関係の継続に対する期待、信頼について正社員に比べて格段に異なるものがあるとはいえず、むしろこれに近いものがある。そして、原告が国際事業部においては余剰人員化し、他部署において、英文タイピストの必要性がなかったことは認められるものも、原告は、相当以前から、一般補助事務要員としての業務を行っていたものであって、一般補助事務要員としてであれば他部署に配置することも可能であったということはできる。」
「……被告は、原告に対し、配置転換の提示をしていないし、退職勧奨も行っていないのであって、原告が営業不振の中にあって、いわゆるリストラを実施中であることを考慮しても、解雇回避の努力を尽くしたとはいい難いものである。なお、被告は、解雇回避の努力として何を選ぶかは、企業の責任で決定し、実施できるものや効果のあるものについて実施し、実行すれば足りるものであって、経営に責任を持たない裁判所が、使用者たる企業に代って判断はすべきでない旨主張するが、採用できないものである。以上によれば、原告の解雇は、社会通念に反するものといわなければならず、本件解雇は、パートタイマー就業規則11条に規定する解雇事由に該当しないものであり、少なくとも解雇権の濫用として無効なものである。」
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