7 パートタイム労働と派遣労働

7−2000.5.9 エールフランス(更新拒絶)事件
航空会社に臨時契約社員として雇用された契約は、更新を予定された契約であって、更新拒絶には合理的な理由が必要とした判例
[裁判所]大阪地裁
[年月日]2000(平成12)年5月9日決定
[出典] 労働判例800号89頁
[事実の概要]
臨時契約社員として航空会社と契約、1度契約更新をしたが、そのあと、路線が縮小されたことなどを理由に更新を拒絶された女性が、地位保全と賃金請求を行った。
[決定の要旨]
更新拒絶の理由に合理性が認められず、期間満了後も契約が継続したものとして、1年間の賃金仮払いを認めた。
「……臨時契約社員の中から正社員が雇用されているという実態がありAの後任を至急確保する必要があったことからすると、歓心を買うような発言をしたものと推認するのが相当である。そして、雇用後においても、上司が、『正社員になってもらいたい。』といった趣旨の発言をしたことは、正社員の雇用についての右のような実態があることからすると、ありうることというべきである。その発言は、職務の精励を求めるためのもので、正社員にするという約束とはいえないが、これが本件契約の更新に対する期待をもたらすものであることは否定しがたい。以上によれば、本件契約は、更新を予定した契約であって、更新拒絶には、合理的な理由を必要とするというべきである。」
「……予約業務量が減少したことは推認できるが、審尋の全趣旨によっても、その量は、さほど多くはないものといえる。」
「また、……予約業務量は減少傾向にあるが、……これが債権者について本件更新拒絶を正当とする程度の減少があったとする疎明には至っていない。してみれば、本件更新拒絶については、未だ合理性を肯定できないから、本件契約は、平成11年7月7日以降も、継続したものということができる。」