7 パートタイム労働と派遣労働

7−2004.5.11 安川電機八幡工場(パート解雇・本訴)事件
雇用期間3か月の有期雇用契約を14年ないし17年にわたって反復更新してきたパート従業員に対する契約期間途中での整理解雇が、人員削減の必要性はあるが、本件整理解雇をしなければならないほどのやむを得ない事由があったとは認められないとして、解雇は無効、精神的苦痛に対して慰謝料支払を命じた例
[裁判所]福岡地裁小倉支部
[年月日]2004(平成16)年5月11日判決
[出典] 労働判例879号71頁
[事実の概要]
XらはY社に短時間契約従業員Dスタッフ(高所得希望のパートタイム労働)として3か月の雇用期間を定めて雇用され、X1は14年間、X2は17年間、契約を更新してきた。Y社はXら31名の整理解雇をするためにXらに解雇予告をした後、平成13年7月25日、26日に解雇した。なお2人の最新の雇用期間満了は同年9月20日であった。
[判決の要旨]
「原告らは……労働契約を半ば自動的に更新してきたものであること、平成13年6月当時、……原告らは正社員以上の残業が可能なDスタッフであって、本来的に雇用継続に対する期待が大きい性質のパート労働者であったこと、……原告らと被告会社との雇用関係は、実質的に期間の定めのない労働契約が締結されたと同視できるような状態になっていたものと認められ、本件雇止めにも正社員と同様の解雇法理が類推適用されるというべきである。」
「被告には人員削減の必要性はあったものの、原告らを解雇対象者に選定した基準自体に合理性がない上、これを適用するに当たっても恣意的であったといわざるをえず、雇用法理を適用するに当たって、パート労働者である場合と正社員である場合とで差異があることを考慮してもなお、本件雇止めは合理性を欠くものであって、社会通念上相当として是認することはできない。したがって、本件雇止めは権利の濫用として無効である。」