8 その他

8−2002.12.10 ニューサンノー米軍センター事件
在日米軍施設のホテルでウエイトレスとして働くネパール国籍の女性に対して、直接の上司によるいじめや嫌がらせはなかったとされた例
[裁判所]東京地裁
[年月日]2002(平成14)年12月10日判決
[出典] 労働判例840号90頁
[事実の概要]
いじめや嫌がらせによるとするうつ病の治療後、職場復帰が可能となったにもかかわらず、直属の上司を避けた配置転換にも応じず労務提供を拒否したことを理由の解雇は解雇権(制裁権)の濫用には当たらないとされた例
[判決の要旨]
「Uは、……業務を円滑・適正に行うため、原告に対し、ニューサンノー(在日米軍施設)には所定の指揮命令系統があることを説明するとともに、従業員はこれに従わなければならないと注意・指導した。これは部下を管理監督する立場にあるマネージャーの行うべき職務であって、特に非難されるべき行為とはいえないから、これをもって原告に対するいじめや嫌がらせと評価することはできない。」
「……原告は、勤務スケジュールが合わないからバンケットには行きたくない、適当な仕事が見つかるまで無給休暇を取りたいと主張し、なおも労務提供を拒否した。人事担当者は、再三にわたり、原告に対し、欠勤を続けると無許可欠勤として扱われると注意・警告したが、原告は、これに応じることなく頑なに労務提供を拒否した。このような原告と人事担当者のやりとりからすると、もはや原告に労務提供を期待することは困難であったといわざるを得ない。そうすると、本件制裁解雇は、裁量を逸脱したものとは認められず、解雇権(制裁権)の濫用に当たるものということはできないから、本件制裁解雇は有効である。」