8 その他

8−2010.3.30 T市館長職雇止め事件
T市が,非常勤職員である男女共同参画推進センター館長に対してした雇い止めに至る経緯に人格権の侵害があったとして,T市などの損害賠償義務が認められた例
[裁判所]大阪高裁
[年月日]2010(平成22)年3月30日判決
[出典]労働判例1006号20頁
[事実の概要]
X(女性)は,2000年9月,大阪府T市の男女共同参画推進センターの初代館長に就任し,非常勤職員として1年契約で更新してきたが,2004年2月,館長職が常勤化され,Xの採用は打ち切られた。Xに対しては,就任後,男女平等を目指す活動に反対する団体などによる街宣活動や中傷のビラまきが繰り返されていた。Xは,男女平等を目指す活動に反対する勢力にT市などが屈し,不当に雇い止め等をされたとして,T市などに対して,慰謝料など1200万円の損害賠償を求めた。1審はXの請求を棄却。Xが控訴。
[判決の要旨]
Xに対して,遅くとも2002年3月頃から「市や市議会の内外で反対勢力による組織的な攻撃が行われて」いたことを認定した上で,T市幹部らが,「男女共同参画推進の象徴的存在」であったXを財団から排除し, Xの考えと異なる後任者を就任させようとした点につき「一部勢力に屈し」た行動と指摘。T市幹部らが,Xに説明のないままに常勤館長職体制への移行に向けて動き,Xの考えとは異なる事実を新館長候補者に伝えて候補者となることを承諾させた行動について,Xを「次期館長職には就かせないとの明確な意図をもってのもの」と評価して,Xの人格を侮辱し,人格的利益を侵害するものと判断した。
結局,本件雇止め等についての債務不履行又は不法行為は認めなかったものの,上記のT市幹部らの行為を不法行為と判断し,T市などに,損害賠償として150万円の支払いを命じた。
[ひとこと]
バックラッシュの中で起きた事案の1つ。X(元館長、控訴人)は,記者会見で,「行政はもっと真剣に男女平等に取り組むべきだ」とコメントした。高裁判決まで10年、頑張られた当事者に拍手したい。
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