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女友だち 木村栄
友だち再発見

 芝居好きの友だちができた。
 煽られて、私もすっかり芝居づき、褒めたりけなしたり発見したりのやりとりで盛り上がっている。
 私は、元々芝居好きなのである。
 最初は母に連れられて歌舞伎座に通い、訳もわからず三味線の音色や七五調のセリフが幼い感性に染み付いた。 学生の頃、それではならじとクラシックやモダンジャズで「教養」をつけるべく励んだが、結局、新劇に落ち着いた。文学座、俳優座、民芸の競演華やかな新劇全盛期で、文学座のアトリエ公演にもよく通った。だから、私のハムレットは芥川比呂志ただ一人。
 後はもう、仕事や子育てに追われて芝居どころではなくなった。
 ようやく、芝居でも観ようかという余裕ができて、歌舞伎を見始めたが、中途半端にフェミニズムなどを齧ったせいか、歌舞伎の「古さ」とどう向かい合ったものか心が定まらない。
 いや、腰が座らないのは他の舞台も同じで、たまに面白い芝居をみても感動はその場限り。マツチの火が燃え続けるローソクの炎にならないのだ。たかが趣味とは言え、少ない残り時間を暇つぶしに使うのはもったいない。
 で、芝居への関心も消えかけた頃、Eに出会った。そして、興味が持続しないのは、話の合う芝居友だちがいなかったからだと知ったのである。
 Eとは、初対面ではない。ある研究会のメンバーとして知り合って十余年にもなる古友だちである。政治や医療福祉の堅い話題一方で、友だちというには少々煙たい存在だった。それが、いきなりマシュー・ボーンの「白鳥の湖」で話が合ってしまったのだ。歌舞伎の贔屓役者が同じと知ってからは、もう一気呵成である。
 私は新劇、Eは赤テント以降と、観劇体験が年の差に見合う分だけずれているのが、互いの足りない部分を補足し合って具合がいい。以来、俄然芝居が面白くなったのだから妙なものだ。
 年を取ると新しい友人はでき難いと言われるが、古い「知り合い以上友だち未満」の中にはまだまだ未発掘の金鉱が埋まっている。うまく掘り当てれば、得がたい友だちになる。
 だから、古友だちは大切にせねば!
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