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女友だち 木村栄
特異日

 初めて特異日というコトバを聞いたのは、ずいぶん昔。東京オリンピックの時だったか。開会式は晴れの確率がもっとも高い日でなければならない。不思議といつも晴れる日は、元旦と一〇月一〇日。つまり、特異日である。
 私の場合はちょっと違う。
 今日は一日家にいられるゾ。さあて、息子も出かけたし、まずは朝風呂でも入ろうか。昨夜は疲れて、お風呂も億劫で寝てしまったし・・。
 と、立ち上がったところに電話が鳴った。はいはい、と機嫌よく長電話をして、終ったと思うまもなく次の電話。それが又長電話で、話している間にキャッチホンが二回入った。一つはアメリカと日本を行ったり来たりの友人の久しぶりの電話で、一つは難しい病気と闘っている友からだった。
 又掛け直すからと最初の電話を切ってキャッチホンと話して、終ったところに、まるでタイミングを計ったかのように別の電話。
 まったく何という日だろう。
 電話攻勢は、昼食を挟んで夕方まで続いた。最近連絡がなくて案じていた友人から、何もこんな日に掛けてこなくてもと言いたくなるような身近な親友まで、およそ現在付き合いのある友人の殆どと話したことになる。
 おかげで家を出られず、郵便局や買い物などの用事が何もできなかった。
 こんなことは生まれて初めてだ。
 夜、ぱたりと電話が途絶えて、これは一体何なのだろうと、気になった。
 死ぬのだろうか。それとも・・・。
 事故に合った人が、ちょっと時間を遅らせていたらとか、ムリに出かけたりしなければ、などと言うのをよく聞く。私自身も経験がある。だがそれは、事故にあったからそう思うのであって、何もないのに、わざわざそんなことを考える人はいない。
 私の場合はそれではないか。
 うっかり外へ出て交通事故に合うところを、友人たちが総出でつなぎとめてくれたのではないか。
時々、神サマが友だちの姿を借りて手を差し伸べてくれたと思うしかないようなことがある。これもきっとそうなのかも知れない。本当に不思議な、私の特異日であった。
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