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女友だち 木村栄
若い友だち

 ナンダ、ナンダ、ナンダ、もう!
 充分承知している筈の若者とのカルチャーギャップ、いざ目のあたりにするとやっぱり呆然とする。  日曜日、Nと27歳のTと3人で歌舞伎見物をした。家まで2時間半かかるというTは、芝居がはねるとすぐ、劇場前の地下鉄の駅に消えた。
 家に着くのは12時過ぎになるわねえと、お下げ髪の跳ねる後姿を見送って、Nとお茶を飲んで帰ったのが11時過ぎ。そしてあけた受信箱に、Tの「お礼」メールが入っていたのである。
 今時珍しく気配りのできるTのことだから、間髪入れぬ早業には驚かないが、いくら何でも早過ぎる。不可能だ。
 な、なんで? 2時間半はサバ? 狐につままれたような私の返信を哀れにも可笑しくも思ったのか、すぐ「早業の種明かし」と題したメールがきた。
 「アレは帰りの電車の中からケータイで打ったのです」と。
 「今どきの若モンの生態を知らないね、ククク」と、Nに笑われた。
 本気で首を捻った自分が情けない。
 そうか、アレがコレなのか。
 自分とは縁のない世界だと、電車の中でケータイ片手にピコピコやってる親指族を眺めていたが、それがいきなり、私の人生とつながってしまったのだから、いや、驚いた。
 と、書いたところにまた着信。
 「ご安心を。私もつい最近まで親指族とは無縁でした。ある日突然、コミュニケーションから取り残されている自分に気づいて、慌てて始めたところです。共に頑張りませう」
 ん? テキは心も読むのか?
 「異星人」と交信して異文化ミステリーゾーンに迷い込んだ気分だが、心遣いはしっかり伝わる。そう言えば、30代のKはメールの機能的な冷たさを補うための顔文字の援用を教えてくれた。なるほど、破顔一笑したり、神妙に平伏したり、彼らの「顔」付きメールはどれも賑やかで心なごむ。
 何であれ命に限りあるヒトの営みは、継承によって個を超える普遍の命を保つ。「イワシの丸干し」もいいが、干上がる前に若い世代の活力を接ぎ木して、同世代から異世代へと女の友情をつないでゆくのもいい。

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