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女友だち 木村栄
『木曜日の朝、いつものカフェで』

 又一冊、女友だちの友情物語が出た。
 著者はデビー・マッコーマー。ロマンス小説の超売れっ子作家の関心がラブ・ロマンスから女たちの友情に移ったのが、まず嬉しい。
 次に嬉しいのが、日常的な交流をベースにそれぞれが自分の問題を乗り越えて行くという、女友だちの本質が前向きに描かれている点である。
 夫を亡くし、子どもたちは自立して孤独な日を送る五七歳の病院事務局長リズ、二十年連れ添った夫の浮気が原因で離婚し、怒りと憎しみから立ち直れないクレア、優しい夫に恵まれ、趣味の手芸用品店を軌道に乗せたジュリア、保守的な母に認めて貰えなくて悩む女優志望の若いカレン。
 四人はある大学の「日誌の書き方講座」で知り合って意気投合し、毎週木曜日の朝八時に朝食をとりながら近況を語り合う会を結成した。
 折りしも、四人はそれぞれの人生の転換期に差し掛かったところ。リズは、年下の小児科医との恋愛が始まり、クレアは別れた夫が末期がんであることを知り、ジュリアは四〇歳の妊娠で悩み、カレンは母のお気に入りの姉が夫の暴力に苦しんでいることを知る。
 どんなに辛くても自分の問題は自分で解決するしかない。その点に関する限り、友だちにできることは何もない。
 だが、「自分のことはわからないが人のことはよくわかる」のは、一面の真理である。近況を話し合いながら交わす意見や助言が、自分だけの感情的な思い込みを合理的な思考回路に乗せるヒントになって、解決の糸口をつかむことはよくあること。
 そうして気がつけば、クレアにとって不可欠だった離婚セラピーはカレンとのデートに取って代わり、胎盤剥離で病院に運ばれたジュリアが何度も口にするのはリズの名前。カフェの中の友情が、カフェを出て互いの人生の中で息づき始めていくのがわかる。
 訳者はわが娘。昔は女の友情は結婚までと言われていたが、今はそこから本物の友情が編まれる時代になったと後書きにある。私が女友だちの友情を力に生きてきたことが、娘の訳業の背後に透けて見えるような気がして、それが三番目に嬉しい点である。

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