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女友だち 木村栄
キツリフネ

 名古屋の友だちがクラス会に出るついでに、庭に咲いていたキツリフネをもってきてくれた。
 小さなフネだかほら貝だかに似た形の花が細い糸で吊るされた状態で咲く、なんとも繊細な野草である。ツリフネソウは紫色だが、その黄色版。繊細だが、群生すると鮮やかな黄色で周囲がぱあっと明るくなる。
 ある日、花の陰に見え隠れする細い莢が膨らみかけて、裂け目が見えているのを見つけて何気なく触れてみた。いや、触れてみようとした、その瞬間。もの凄い勢いでパーンと弾け飛んだ。
 いやもう、驚いたのなんの!
 何が起こったのかわからなくて、しばらくポカンとしてしまった。
 気がつくとデスクの端に硬く小さく四つに丸まった輪ゴム様のものが落ちている。裂けて丸まった莢だ。飛んだタネはどこへ行ったかわからない。
 こんな優しいか弱そうな花のどこに、これほどのエネルギーが秘められているのか。力のない花だからこそ、繁殖の一瞬のために満を持して溜め込んだエネルギーを一気に爆発させて、タネを飛ばすのか。
 友人に報告すると、さっそく触ってみて仰天したという。もう二十年も庭に咲いてるけど、こんな経験は初めてだと私以上に驚いていた。
 母上が私のためにタネを送ってくれるそうだ。図鑑には黒くなった時が採種の時期、とある。だが、こんなに弾け飛んではいつどうやって採ったものか、と困っているという。
 無事にタネの届く日が楽しみだ。
 我が家のベランダには、各地の渡来物が増えた。フウセンカズラは京都のK、ヒルガオは神奈川のK。金の成る木は江東区のI、アロエは調布のE、九州のAが持ち込んだ布袋藻に、ニホンメダカまでいる。どこにでもあるものばかりだが、みんな彼の地の友だちがタネや苗をくれたものだ。
 名古屋のキツリフネが加われば、また「県際色」が豊かになる。
 毎朝、水をやりながらあちこちの友の顔を思い浮かべる。
 友情を育てるにも水やりが必要だとどこかで書いたが、フフ、これがホントの「友情への水やり」かも。
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