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女友だち 木村栄
サッカー

 ネタがない、ネタはないかと呻いているとNが言う。
 「あなたもサッカーみるの? とNが恐る恐る聞いてきたっての、どうお」
 「で?」
 「サッカーに関心ない人=ヒコクミン、状態を書くのよ」
 「なんて?」
 「それを考えるのがあなたのシゴトでしょうが」
 つまらん、私の趣味じゃない、テーマとつながらない、などと文句を言うと、また突っ込まれる。
 「あなたって、私がせっせとネズミをとってきてあげても、口に合わないからって見向きもしない気位の高い猫みたい。そのくせ、私がバッタかなんかで遊んでるとさっと横取りする」
 そうかも知れないけれど、そう言われても、ねえ。
 ま、国立競技場の側で興奮したジャパンブルーのサポーターが群れてるのを見て、「国立競技場の試合、今終ったのね」と知ったかぶりをして笑われたという、Nの居心地悪さはわかる。
 で、ブームの「社会学的分析」を吹っかけられて、挑発に乗ってはみたものの、「なんで監督が背広にネクタイなのよ」なんて、スポーツ音痴同士の会話は「周辺事態」ばかりで盛り上がりに欠けるのが難だ。
 「見てるうちに面白くなるってことないの?」
 「皆そう言うけどまだるっこしい」
 「いい男、一杯いるじゃない」
 「皆そう言うけどタイプじゃない」
 ウーン。
 私の場合、孫がイングランドの二番手オーエンに似てると言われて見る気になった、などと口走ったら後々までたたられそうだし。
 確かに、青一色の日本と赤一色の韓国の観客席を比較して「韓国に比べると日本は応援が足りなかった、それが結果に出た」とコメントするキャスターや、「帰国したら戦犯扱い」などと言う選手の話を聞くと、挙国一致の熱狂ぶりがふと怖くなる時がある。無邪気に「健全なナショナリズム」を楽しんでいていいのだろうか、と。
 せめて、堂々とスポーツ音痴を貫いて、ゴマメの抵抗といきますか?

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