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女友だち 木村栄
ミステリー

 公園で幼い娘のブランコ取り競争をするうちに親しくなり、降り出した雨を幸い、公園近くの一人の家に上がりこんでおしゃべりに興じる母親たち。
 誰が何を話しても「わかる、わかる」と、打てば響くような応酬に夢中になり、その日のうちに友だちになったのは、同じ街に住む、主婦のクリス、元ミスコン女王のバーバラ、大学へ通うスーザン、弁護士のヴィッキの四人。
 どこにでもありそうな、こんな出会いが、サスペンスタッチの女友だちの物語、ジョイ・フィールディング作『グランド・アヴェニュー』の発端である。
 出会いから十四年、四人は、夫の暴力、セクハラ、母子癒着、フリン、離婚などの「女の問題」に翻弄されながら友情を強め、意外な結末を迎える。
 再婚を控えたバーバラが惨殺されたのだ。犯人は一人娘のトレイシー。動機は母親の性的虐待だと訴える。
 ヴィッキは、それがバーバラの望みだと信じて、友の反対を一蹴して弁護を引き受け、無罪を勝ち取るが、判決後、トレイシーが真相を告白する。
 母親の溺愛で自立できなくなり、一人だけ幸せになろうとする母親が許せなかった、母親を殺さなければ自分が生きられなかった、と。
 十五歳の小娘に騙されて亡き親友の名誉を傷つけ、友情を失い、名声を得て出世街道を駆け上るヴィッキ。
 やがてクリスもガンで死に、残された二人は会うこともなくなった。
 読み応え十分の面白さだが、こと「友情」に関しては、後味は重い。
 自分を犠牲にしても娘を守りたいと願うのが母親たる友の真情と察して、弁護に力を尽くしたヴィッキが真の友なのか。それともそれは、友情とは無関係な、幼くして母親に捨てられたヴィッキの復讐で、「性的虐待などあり得ない」と、友を信じたスーザンやクリスが真の友なのか。
 人生と同じように、友情は正義ではない。安らぎでもない。ひょっとして、それぞれが闇の中に抱えている問題を明るみに引き出す仕掛け、ではないかと思えてくる。ならば、それを乗り越える力も用意されている筈だ。
 彼女らがそれを発見して、傷ついた友情を癒す日が来ると信じたいが。

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