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女友だち 木村栄
ア ウ ト

 「和製テルマ&ルイーズ」の惹句に惹かれて、最終日の『アウト』を観た。
 映画館はガラガラ。私の意気込みも空振りに終わった。だが転んでもただは起きない私。見所を一つ見つけた。
 「雅子さん、私のこと嫌いでしょ」
 「嫌いだよ」
 邦子と雅子の、同じ会話が映画の冒頭近くと終幕近くに二度出てくる。
 最初の「嫌いだよ」は、とりつく島もない突き放した表情と拒否的な声。しっかり者の雅子とずさんな邦子では、さもありなん。二度目は、少し緩んだ表情と柔らかくて軽い声。だめな邦子をダメなりに受け入れたか。
 二つの会話の間に何があったか。リストラ亭主と断絶息子を抱えた雅子。痴呆の義母の介護と立ち退きに追われるヨシエ。ブランド漁りでカード破産の邦子。ギャンブル狂で家庭内暴力の夫をもつ妊娠八ヶ月の弥生。
 不安と失望を抱えた四人の人生が弁当工場の深夜パートでつながる。
 三人は、雅子の小金貸しの「お得意さん」である。
 ある日、腹を蹴られた弥生が、夫を殺して雅子に死体の処理を押し付ける。困った雅子は、ヨシエと邦子を引き込み、浴室でばらして生ゴミに出す。 その後、ひょんなことから三人は死体解体業に手を染めることになるのだが、「犯行」を嗅ぎつけたのが容疑者にされたカジノの用心棒。弥生を脅し、ヨシエの義母を殺し家を破壊しと、恐怖の揺さぶりをかけてくる。
 用心棒を殺して自首するヨシエをおいて、車で脱出する三人。途中、産気づいた弥生を車ごと病院の前に残し、二人は、ヨシエの夢だったオーロラ目指してアラスカへの逃避行を続ける。
 この場面が二度目の会話の舞台。
 お金にしてと弥生に宝石を渡す雅子を見て、邦子も「これだけは本物だから」とシャネルのバッグを押し付け、雅子を追いながら聞くのだ。「雅子さん、あたしのこと嫌いでしょ」と。
 三度目はあるのだろうか。あるとしたらどんな場面で、その間にどんな時間が流れるのか。「嫌い」が「好き」に変わることはあるのか。
 帰り道で色々想像してたら、結構面白い映画だったなあ、

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