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女友だち 木村栄
ことば

 晦日、大晦日と押し詰まってくると、どうにも気ぜわしい。何かし残したことがあるようで落ち着かないのだ。 その落ち着かなさが、年内に解決しなかった人間関係の屈託を呼び起こす。一夜明けて、重たい気分を引きずったまま「年始」に出かけることになった。
 まだ年賀状の配達には早いがと思いながら、出掛けに何気なく郵便受けを覗くと一通の手紙が入っている。
 大晦日に配達された、若い友人からの、一年の締めくくりの手紙である。 「・・大事に思う人の言葉は、私の体の中を血となって流れて、エネルギーになるような気がするのです。木村さんには、優しさ、人の温もりを励ましの言葉とともにいつも送っていただいて、私は木村さんのおかげで今こうして生きていられます・・」
 世話になったのは私の方だ。
 毎年、寝苦しい夏には安眠を誘うポプリの枕や、体の冷えをとる梅干やラッキョウを、暮れにはつきたてのよもぎや生姜入りのお餅、クリスマスにはハーブのリースをと、私の体の具合に合わせてタイミングよく送ってくれる、心のこもったプレゼントにどんなに慰められたか。
 私は、ただ、メールでお礼を言うだけである。その折の、近況報告のやりとりで使った言葉をしっかりと受け止めてくれていたのだ。
 大げさなと思いながら、心が温かく和らいだ。縮かんだ心がふうわりと広がって、年末からの屈託が解けた。
 本当に、言葉はエネルギーになる。
 友だちと言っても、人が人にしてあげられることは多寡が知れている。だからこそ、言葉くらいは気前よく使いたい。優しい言葉をかけ合おう。お互い、良い所を見つけて盛大に褒めよう。小さな親切に感謝しよう。
 若い友人のおかげでいい年越しができたと、気分がいい。
 そこで私も真似してみた。
 友人に年賀の電話をして、懇切に昨一年の感謝を伝えたのである。友人は驚き、慌て、塩をかけられたナメクジのように身を揉んでテレまくった。
 ハハ、すごーい。効果ばっちり。これからはこの手でいくとしよう。
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