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アフガンの歌 喜多悦子
アフガンの希望(1)――水不足の不安

 2003年最初の国外出張はアフガン。
 1月末、カブールでの、ユネスコ関連の識字教育に関する会議に参加した。昨年来、内閣府のアフガン女性支援委員会でご一緒させて頂いている岩男壽美子先生(武蔵工業大学教授、慶応大学名誉教授)やユネスコアジア文化センターの方々と一緒だった。

「紛争地」の称号は消えたが
 はじめてアフガニスタンの土を踏んでから、まもなく15年になるが、冬がことに厳しいこの国に来るのは、なぜか、いつも冬だ。イスラマバードを発つとまもなくアフガンの領域に入る。
 しかし、とてもとても驚いた。厳冬、本来なら豪雪で、飛行機の下は真っ白なはずなの1月というのに、アフガンの大地、山々は茶色い岩肌をさらけ出している。まるで、ハダカ、はずかしげもなく!!と思った。
 確かに、日常茶飯事とはいわないまでも、まだ、この国では規模の小さな紛争は消えていない。私は、決してアフガン専門家ではないけれども、この国が安定に向かっているなどと断言するにはほど遠い状態だと思う。けど、とにかく、国全体についていた「紛争地」という称号は23年ぶりに消えたことは事実だ。なのに、この国の人々は、今度は水不足という新たな苦難に立ち向かわねばならないとは、一体、どうなっているのだ。すでに、ペシャワール会の中村哲先生は、数年間、アフガン東部で井戸掘りに精力を注いでおられるが、その地域だけでなく、人口が200万とも250万以上にも膨らんでいるとされる首都カブールでも今夏、深刻なことが起こるのではないかと思う。

 パキスタンのイスラマバードからの国連機は、以前にもまして、すっかり、定期便化している。45分ほどで、カブール空港に着く。
 昨年(2002年)3月、官邸のアフガン調査団と、やはり内閣府アフガン女性支援委員会委員長の原ひろ子先生(放送大学教授、お茶の水大学名誉教授)とご一緒したが、わずか10ヶ月ほどの間に、空港はまた整備が進んでいる。今度は、荷物がベルトコンベアーに載っかって出てきた。入国審査も早くなった。そして、滑走路の両側には、まだ、長い紛争を物語る残骸がいっぱいあるが、アフガンの地を示すアリアーナ(アーリア人の土地)を冠し、旧国営航空会社名でもある立派なジェット旅客機、アゼルバイジャン行きの旧ソビエト製と思われるアントノフ機も華やかに並んでいる。これが平和でなく、何であろうか。
 私たちの便は、有料国連機だったが、こうなれば、早く、現地側に技術移転と管理運営支援を行えば、外貨獲得手段として利用できるであろう。

もう一つの戦争
 盆地であるカブールを取り巻く山々も、まったく、雪がない。暖かくて良い・・と思うのは外来者だけでなく、アフガンの人々もそうであろう。けど、本当に水が心配な人は、雪よ降れ、雪よフレと願っているに違いない。それにしても、この国の水の材料、すなわちアフガンの国の北東から南西に広がるヒンズゥークシュ山脈に積もる雪が、年々、少なくなってきているのは、同じく中央アジアのアラル海が干上がってきていることと理由はまったく異なる。かつては世界第4位の湖沼、琵琶湖の100倍という大きさを誇ったアラル海が干上がってきたのは、1にも2にも、周辺の乱開発であった。
 が、アフガンに降る雪が減っているのは、地球温暖化のせいとされる。しかし、である。そうであるにしても、この地の人々には何の責任もない。つまり、ほとんどエネルギーらしいものを持たないアフガンではなく、外の国がジャンジャン浪費したエネルギーのせいで中央アジアに温暖化が起こっているのだ。この国の人々は、そんなことは知らないまま、another war(もう一つの戦争)という厳しい状況に追いやられる危険性がある。

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