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老親とともに 信子と啓子
正反対(啓子)

 暑さに弱い母は気温が上がってくるとますます食欲をうしなう。生まれ育った関西の味なら少しはいいだろうかと時々NやMといった関西の料理屋さんのお総菜を買っていくことがある。のどごしの良さそうな湯葉料理や冬瓜、それに東京の魚屋さんではあまり見かけないハモなど。実はこれらのものは私の好物でもある。ところが母の箸はあまり進まない。
 冬瓜にいたっては「これなあに? 初めて食べるわ」と食べながら何回も言う(気に入っていないのだ)。さらに「あんたはこんなたよりないものを食べて幸福そうな顔していられていいわね」などという。
 食べ物の好みは母と私はまったく違う。
 母は毎日の昼ご飯はインスタントラーメンを自分で作って食べている。たまにはそうめんやうどん、そばの方がさっぱりして目先が違っていいかと思って私がつくってみてもはきはき食べない。私の腕が悪いというだけではなくてラーメンの方が好きらしい。
 このごろのデパ地下のサラダ部門の充実ぶりは目を見張るばかりで、日替わりのようにしていろいろ試してよろこんでいる私を見て、「そんな生野菜ばかりたべて馬みたいね」と母はいう。野菜派の私に対して母は意外なことに肉派であることに気が付いた。
 肉の好きな父と食べ盛りの弟二人のおかずを作っているうちに、母も肉や脂っこいの方が好きになったのだろう。
 で、今日の夕食も母の皿には鳥の唐揚げやポテトサラダがのっていて、私のには高野豆腐とjひじきという具合である。
 クッキーやアイスクリームでも母に「おいしい?」とたずねて「おいしい」と返事されると、私は警戒する。ミルク分が多くて、牛乳嫌いの私には好ましくないのだ。
 「年齢で考えたら逆の好みだわね」と私がいえば、「まったく、あんただけが誰に似たんだか変な趣味」と母は言い返す。
 「食事の趣味からしても喧嘩の種だわね」と私。
 「あんたとは一緒にとても住めないわ」と母。
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