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老親とともに 信子と啓子
カンタータ:フジヤマ(信子)

 「天地のわかれし時ゆ/神さびて高くとほとき、、、、」で始まり「語りつぎ言ひつぎゆかむ/不盡の高嶺は」でおわり、かのあまりにも有名な反歌「田子の浦ゆ打ちいでて見ればま白にぞ不盡の高嶺に雪は降りける」のつづく山部赤人の歌。これが平井康三郎の作曲で「交声曲 不盡山を見て」(または、カンタータ:フジヤマ)となり演奏会で歌われるようになったのは、昭和11年。私の生まれた年、随分古い歌なんだと思いながら楽譜を見る。今年のわが合唱団の演奏曲目の一つに選ばれたもので、あまり練習熱心でない私も、赤人の名前に惹かれて時折口ずさんでいた。
 多分800年代に詠まれた歌が、1936年8月(楽譜の解説による)に作曲され、2000年代にまで歌い継がれている。古今の名曲はそうなのだろうがいまさらのように感心する。そんなことを母に話していたら、「私もね。やってるよ。三十六歌仙。いまおけいこしてるのよ。」
 父が亡くなって、母が書道をはじめてかれこれ三年ぐらい経つだろうか。「いろはにほへと」から、うねうねしたかな文字が、美しい変体仮名になり、私も見せられるたびその上達振りには驚くばかりである。デイに行かない日や、土日のまとまった時間には、ほとんど練習にはげんでいる。いささかやりすぎては「ちょっと目が疲れた」といって目薬をさし、今度は書いたものを整理して仕分けする。これもまた一仕事で、最近の母は書道に明け暮れている。
 徒然草だ、枕草子だ、源氏物語だと次々に新しい箱を用意して積み上げているのだから、三十六歌仙は当然出てくるはず。
 五行に書かれた、美しいかな文字。「これね。山部赤人」「すごいねえ。いつの間にこんなに上手になったの。ほんとスゴイ!!」本当にびっくりだ。私の反応にご機嫌の母は「なにしろ私は習字漬けやから、あんたもやったらいい。お手本だって道具だって、みんなあるし……」?? 語りつぎ言いつぎゆかん か。「ええーっ いい、私はカンタータ:フジヤマを歌うから」といったものの、そうか、語り継ぎ言い継ぎゆくことか、なるほどとしばし考え込んでしまった。
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