判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
老親とともに 信子と啓子
ああ、不良老女(信子)

 母がデイに通いはじめてもう4年になる。当初週2回だったのが、希望の科目(?)を見つけて週3回になった。通所前はどうなるかといささか心配もあったのに立派なものである。勿論その日の気分で「いきたくないわ。欠席の連絡して頂戴」となることもあるが、母にとってデイにいくことは、今や通学である。だから、デイのない日は「今日はお休み」となる。友達もたくさん出来た。
 母がデイから帰ってくると、お茶を入れて話を聞くことにしている。
 はじめは、早くデイの環境にも慣れてほしいと思って私の方から色々尋ねていたのに、今では母がその日の出来事を進んで話してくれるようになった。
 「Oさんがね、このペンダントよく合うっていってくれたよ。」
 「お昼のときにね、急にみんなで高野豆腐の煮たのが食べたいなんていいだしてね。そのうちに私が煮て持ってくるわっていったのよ。」
 「Yさんはね、お弁当の夕飯に飽きてしまったっていってたから別なお店きいてあげるって約束しちゃった。」
 「担当の人にね、今度のミニ外出は“ちひろ美術館”ってお願いしてるのになかなか実現しないのよ。みんな行きたがってるのに、、、」
 といった具合で、「そう」とか「ええっ?」とか「ふーん」と相槌を打つしかない私である。
 そうして、高野豆腐事件が起きてしまった。
 母が時折キャンデーなどを持っていってるのは知っていた。みんなでお喋りをしながら食べているらしい。そのうちTさんからクッキーを貰ってきた。Tさんがほしがっていた品川まきを母がプレゼントしたお返しとか言って。私もいささか盛んなのが気になりはじめていたころのことである。
 母が、いよいよ高野豆腐の煮付けを数人の仲間に持っていったのである。小さな密閉容器に入れたり、しっかりと二重に袋詰めにはしたもののHさんに渡した分から汁が漏れてしまった。
 デイの送迎車の到着寸前、担当職員から電話。「通所される方にはいろんな方がいます。痴呆の始まっている方もいますし、医師から食事を制限されている方もいます。食べ物を持参されたり、交換されるのは、、、、」と厳重注意をいただく羽目となった。
 元気よく帰宅した母は、嬉しそうに笑っている。「電話あったでしょ?バレちゃったのよ」と。私は言葉がなかった。やってくれるよねえ。この不良老女!!
 しかし、あんなに楽しそうに笑って、ばれないようにまだやる気でいる母に、実は私も拍手を送っているのだけれど。
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK