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女友だち ときにはしみじみ、ときには抱腹絶倒する女の友情をめぐるエッセイです。
メルトモ事始め

 「何時電話してもいないけど、いったいどうしちゃったのよ!」
  もちろん、どうもしていない。外出は「連日」も「掛け持ち」も控えて、用事は一日一つ。同じようなからだ事情の人ならすぐ通じる「一日一善」ペースの暮らしである。
 タイミングの相性が悪いのだ。
 「先週もその前も留守電で、昨日かけたら又留守電でアッタマきて切っちゃった。死んじゃったかと思ったワ」
類は友を呼んで、私の友だちはみんなわがままだ。いったい留守電って何のためにあるわけ?
 とは言え、気持はわかる。
 なんせ朝が早い。息子の出勤に合わせて五時半起床。今時「息子のため」もないが、夜は使い物にならず、埃の静まった朝の空気が一番という私の眼の事情もあって、朝型が定着した。
 従って夜も早い。ところが、同世代の友人はみな元気で十一時前には帰宅しないから、電話タイムが合わない。ならばと仕事の合間を見て電話をすれば留守電ばかりというわけで、溜まった不満が暴発するのだ。
 仕方がない、と腹を決めて鬼門のEメールを始めた。これがなかなか具合がいい。毎朝、夜のうちに入ったメッセージを読み、返信すべきはして、連絡は格段に密になった。
 だが、予想外の喧嘩も増えた。
 パソコン画面に向かって書く短い文章は事務的になりやすい。それを切り口上と感じたり、愛想がないと気を使った一言が「一言多い」と言われたり、クリック一つの瞬間電送で「まずい」と思った時は送信済みだったり、とかく齟齬が生じやすいのだ。
 声や言葉の調子で相手の心動きを聞き分け、距離をおいたり縮めたりと、間合いを計りながらのコミュニケーションに慣れたアナログ世代にとって、一方的でデジタルなメールはなかなか手ごわい通信手段だとわかった。
 そんなわけでよくこじれる。こじれた関係を修復するのに時間をひねり出して会う機会が頻繁になり、結局関係が密になるという妙な展開になった。
仲良く「メルトモ」するには、「チョーごめん m(_)m」なんて親指族デジタル言語の習得が必要なのかも、ね。

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