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女友だち ときにはしみじみ、ときには抱腹絶倒する女の友情をめぐるエッセイです。
友情の賞味期限、ねえ

「自分も年をとり、相手も年をとり、だから友情も年をとる。年をとって身が痩せる、心も痩せる。ふっくらとしてどこかしら熱を帯びていた友情は、心の痩せた分隙間が空く。隙間があけば、相手の少々の馬鹿さ加減も憎たらしさも許す気持になる。だんだん、身も心も友情もイワシの丸干し状になっていき、噛み締めれば味わいがある、なんてんでいいんじゃないですか。
 イワシの丸干し、乾燥させればさせるほど、賞味期限は長いですよ」
 大学時代の友からの感想メールだ。
 さすが麺粉会社の社長、扱いやすくて味わいのある乾麺の良さはよく知るところだが、我田引水の誹りを恐れてイワシにしたとみえる。
 痩せて隙間だらけ、ねえ。友情にも骨粗鬆症があるとは知らなんだ。
 ま、たしかに「主体が年とるのに、友情だけいつまでもふっくらピンクじゃ気持悪い」と言われてみれば、その通り。老い呆けても互いへの関心だけは熱く残って、盗った盗られた言った言わないと、情熱的にいがみ合う老友同士になっても困る。
 同じイワシの乾燥でもダシ用の煮干と間違えてはいけない。脂の乗った生きのよいのを天日干にして、濃縮した旨みを引き出すところに妙味がある。
 例えば?
 こくのある熟年の友情で思い出すのは、何と言っても映画『ミス・ドライビング・ディジー』だが、女同士であれば、淡彩ながら「食後の薬」で触れた『森の中の淑女たち』か。
バスの故障で遭難した老女たちが、救援信号を工夫し食料を探しながら、問わず語りに自分を語り、相手の人生に耳を傾けるところが実にいい。
 偏見に晒されてきたレズビアンも先住民も「それも人生これも人生」と受け入れ、人のためにではなく「自分がそうしたいから」と、関節炎の脚で三〇キロも歩いて助けを求めに行く。
 僻まず言い訳せず、押しつけもせず、謙虚に相手を受け入れて媚びず、自分を主張した分、相手を思いやる。
 長い歳月を生きることで濾過され、自然の風で余分な水気を飛ばして抽出された友情のエッセンス。  それがつまり、噛めば噛むほど味の出るイワシの丸干し、ってこと?

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