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女友だち ときにはしみじみ、ときには抱腹絶倒する女の友情をめぐるエッセイです。
家族風呂

 女友だち二人と、有名クラシックホテルのサービスプランに乗ってみた。
 東京では桜が満開というのに雪にたたられ、寒さと足許の悪さでガチガチに強ばった体で部屋に入り、何はともあれ風呂に入ろうと蛇口をひねった。
 が、いつまで待っても適温にならない。シャワーをあびながら入るワ、と一人が飛び込み、シャワーも水だったと、震えながら飛び出してきた。
 修理して貰って熱湯が出た。半分溜まったところで、水でうめながら入るワ、と次の一人がとびこんだ。その彼女もあっという間に飛び出して来ると、今度は水が出ないと言って、震えながらベッドに潜り込んだ。
 私は、って? 実は、チェックインした時に小さい家族風呂があることを確かめておいた。で、慌てず騒がず頃合いを見計らっていたのである。
 そう言うと、二人は呆れたように顔見合わせて、笑い出した。
 「あなた、家族風呂って何だか知ってるの? お二人さん用のお風呂でしょうが。あなたが入ってどうするのよ」
 ウソでしょう。
 普通、ホテルには大浴場がない。が、日本式の風呂でないと入った気がしない、浴槽の中で体を洗うのも嫌だという人もいる。そんな客向けのささやかなサービスが家族風呂だ。
 貸し切りだからグループでも家族でもカップルでもOK。妙に気を回して遠慮する必要などさらさらない。
 「おかしいのはあなた方の常識デス。第一こんなホテルにきてまでそんなセコイこと考えないでしょうが、普通」
 憤然と反論したものの男女関係系に弱いのが私。識見豊かな友人にひっくりかえって笑われると自信がなくなる。
 ともかく百聞は一見にしかずと、入ってみた。三、四人は入れる浴槽に四二度の湯がなみなみと満たされ、お湯が減るとその分だけ自動的に追加される、結構なお風呂だ。心ゆくまで手足を伸ばして暖まり、ざぶざぶと体を洗ってさっぱりした。
 そして、棺桶スタイルの浴槽にビニールカーテンを引き込んで、チマチマと入浴をしている彼女たちを哀れんだ。だけど、ほんとのところ、ホテルの家族風呂って、なに?
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