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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
『冷静と情熱のあいだ』(江国香織・辻仁成・新潮文庫)

 一つのストーリーを女性の側から江国、男性の側から辻が書いていて、それぞれ赤、青(ジェンダー!)のおしゃれなカバーがついて、書店で並べて平積みされている。同時に、映画も封切られ、話題づくりとしては良い線をいっている。
 東京で学生時代に同棲していた若い男女。妊娠したが男の父親に説得されて男に黙ったまま中絶。父親の介入を知らなかった男は女に対して不信の念を抱き結局別れる。女の35歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモで会おうという約束をして。二人とも「帰国子女」だし、背景は国際的だが、筋はいたってシンプルでコンサバティブだ。
 男の方はまだ絵画の修復という特別な職業を通しての嫉妬や家族のあいだの世代間葛藤が描かれていて、退屈しない。しかし、女性の生活は ミラノに住みとてもやさしいアメリカ人に愛されていて(でもいつも心の中では別れた男を想っていて)、アンティークの店を時々手伝うほかはアマレットを飲み、朝からながーいあいだ風呂につかり、本を読むだけ。それが繰り返し繰り返し描かれる。読み手にけだるさが感染して(その意味ではうまいのかな?)、気分が落ちてくる。
アマレットというお酒を飲んでみようと思ったのが唯一の感想。1つの小説を一人で完成するのは息切れするから、二人で書いたのかしら?
 今、若者に人気のある二人というけれど、なんか「衰弱」という言葉が思い浮かんで仕方ない。
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