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ジュリスト「ジェンダーと法」特集号 03年1月15日号 有斐閣

 固いとされるこの法律雑誌で、はじめて「ジェンダー」が特集のキーワードになった。私たちのホームページの題そのまま(!)である。昨年夏、月刊誌の「法律時報」で「ジェンダーと家族」がとりあげられたことに続き、「ジェンダー」の問題が法律の中でマイナーなものではなく重要なのだと認知されたと言ってもいいだろう(この特集号の中には、ジェンダー法学が広い認知を受けていないのはなぜかを分析する論文もあるのだけど)。多岐にわたるが、まず冒頭の辻村氏の論文を紹介したい。

「男女共同参画社会基本法後の動向と課題」 東北大教授 辻村みよ子
 基本法後の成果(DV法、育児休業・介護休業法の改正等)・動きから最近のバックラッシュによる条例の文言の後退まで含めて整理され、もやもやしていたものがよくわかり胸のつかえがすっきりする勢いのある論文である。「さまざまな反論がおこることも当然に予想されよう。幾多の試練を乗り越えてこそ真の社会改革が実現されるという点では、批判を含めた議論の高まりはむしろ歓迎」とする筆者の力強い姿勢に共感する。ポジティブアクション(PA)の必要性と欧米でもその憲法適合性・EC指令適合性がたえず問題にされ争われていることの紹介は興味深い。こんなにPAが違法であるとの判決が出ているとは知らなかった。選挙のクォータ制は遠いヨーロッパのみの話ではなく、お隣の韓国にもある。00年の政党法改正で比例代表選挙における女性候補者の割合を100分の30以上にするとされ、女性議員を3.9%から5.9%に増やしたことが紹介されている(このほか、同誌194頁白井京「海外法律情報 韓国」の金大中政権の5年間に行われた女性関連立法も必読)。経済危機を国民の総意で短期で克服した韓国と、無策なまま「失われた10年」をすぎてもいまだ出口のみえない日本との力量の差が、ジェンダーの問題にも反映しているというべきか。大学における女性教官の低比率の問題も取り上げられている。02年9月の「男女共同参画推進のための東北大学宣言」は拍手である。この文章を書いている途中、知り合いの女性研究者(法学ではないが)が7年超しの研究成果の本を持って年始の挨拶に来てくださった。論文を書かずやる気のない授業をしている大学教員を温存する一方で、彼女のような優秀な研究者が常勤の職を得にくい学閥の弊害と採用するならまず男性をという慣習を、少しでも打破してほしい(女性差別の数々の暴言で裁判の被告になってしまった石原都知事すら、「日経ビジネス」の最近の号で「有能な女性が採用されない社会はおかしい」と言っていた!)。私の娘は今年法学部に進学したが、先生の声が小さくて前の方に座っても聞こえない、学生の方を見ない、やる気がない、という塾年男性教授の授業があるらしい。法科大学院のことより、まずせっかく意欲を持って入学した学部1年生の授業・教員の構成を改革してほしい。組織の活性化には「若年化と女性の採用」が有効であることは言われるようになってから久しい。最後は書評から離れて私憤になってしまいました。特集号の他の論文についてはまた後日に続きを書くのでお許しを。(F)
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