判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
上野千鶴子『映画から見える世界』第三書館 2014年

 映画は3度おいしいと言っている。1度目はもちろん映画を観たとき、2度目は映画を批評したとき、3度目は他人の映画評を読んだとき。そしてよい映画評とは読者が観たことのある映画ならもう一度観てみたいと思わせ、観たことがなければぜひ観たいと思わせるものだと言う。
 ほとんど見開き2ページで評されている映画は約80本、私が見たのはそのうちの約3分の1。観たことのある映画の評を読むのは楽しい(2度目のおいしさ)。夫婦の至高の愛を描いたと評価の高かった『愛、アムール』は、「要介護の女は『愛』によって殺される?」と見事なジェンダー視点で切られているのを見るとあの映画の私にとってのわけのわからなさが晴れる。イギリスの女王エリザベス1世を描いた映画は「すべての「負け犬」さまに捧げたい」。なんと本質をついた短評か。
 では観ていない映画を観たいと思ったかという点になると、ウーム。内容を紹介するスペースの少なさのせいもあって1本1本の魅力が伝わってくるとは言いがたい。
 上野さんは「映画の隠れフリーク」だそうだが、映画のストーリーより俳優や監督についてのうんちくに驚く。本当に幅の広い人だと思う。「ちづこ流映画の観方・娯しみ方」と題する8本のエッセイもおもしろい。「戦争映画とナチもの」にこだわりがあると告白しているが、加えて最近は「老い」にもこだわりがあるようだ。日頃コワモテの上野さんに親近感を感じる。
 「映画は努力しなくも楽しめる」と冒頭にあるが、劇場に行かなくても自宅でDVDを見ることもできるし、他のエンタメに比べて、体力や努力を必要としないし、しかも安い。  映画こそ老後の楽しみの最たるものだということを確信した。(巳)
Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK