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常岡史子「離婚と財産関係の処理」判例タイムズ1073号

 ドイツの現在の離婚制度がよくわかる。著者が2000年にドイツのフライブルグで研究され同地の家裁の実態をみられた経験が、具体的に書かれていて、日本の離婚制度と対比してみるとおもしろい。概要は以下の通り。

 ドイツでは1976の法改正で有責主義と訣別し積極的破綻主義を導入した。つまり、夫婦いずれかに有責的な事情があるか否かを問わず空洞化した婚姻を維持することを当事者に強いるべきではないという考え方を採用した。
@3年以上の別居、
A3年未満でも1年以上別居しかつ双方の合意がある場合
B1年未満のときは、婚姻の継続が申立人にとって著しい苛酷となるときのみ
の場合に離婚が認められる。しかし、当事者の恣意的な決定に委ねることと同義ではなく、裁判所が当否を判断し離婚に関与するという姿勢は堅持した。
 有責・無責に関らず離婚後も相手を扶養する義務を負うが、これには、新たな婚姻に踏み出すことを困難にする等の批判がある一方、経済的弱者にとっては離婚に踏み出しやすくなる面がある。婚姻中形成した財産は金銭債権・債務の形で清算、婚姻中の各配偶者の活動は等価値で同じ持分をもつとされる。年金権の均分清算制度があり、当該保険機関から直接に年金の支払いを受けられる。清算はスム−ズに行われている。当事者の実質的平等をはかろうとしているが、必ずしも強行法規ではなく、当事者が異なる合意をすることもできる。事実婚の離婚は、できる限り法律婚に近い効果を与えようとする日本と違って、私的自治の原則のもとで自己責任による解決を行うことが強く要請されている。

 制度としては、全体として日本の何歩も先をすすんでいるが、法的婚姻のみを特別に強く保護している(離婚後扶養も明文化、日本では個別に判例が認めた場合のみ)という面では、どちらがよいだろうか。もちろん、ドイツには婚外子差別というようなゆがんだ形での法的婚姻保護はなく、だから事実婚にも抵抗がなく、婚姻へと強制されるという強い呪縛はないのかもしれない・・などと、この論文を読んで感想を持ちました(F)。

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