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『あれも家族・これも家族』(福島瑞穂・岩波書店)

 昨年暮れの朝日新聞の対論で自民党の高市早苗さんと野田聖子さんが「夫婦別姓」について反対・賛成の議論を交換していた。隔世の感がある。政権担当の党の女性議員が別姓に堂々賛成の論陣をはれるようになったのだから。でも、一方で、まだあまり有名でないすっぴんで飛び回っていた福島瑞穂さんが中心になって夫婦別姓のシンポジュームを開いてから10年以上経っていることを思うと、世の中の仕組みはなかなか変わらないとも思う。さて、その福島さんの近著である。
 90年代後半、職場、家族の中で今まで見えなかった問題が露呈した。セクシュアル・ハラスメントがそうであり、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待がそれである。福島さんは、これらの問題に国会議員として、立法に力を尽くしてきた。政界地図の中で駆け引きや妥協をしながらの部分もあっただろうが、彼女の口癖である「小さく産んで大きく育て」ていくのは、私たち自身の力だろう。そんなメッセージが伝わってくる。
第1章の「結婚のゆくえ」から第4章の「世帯単位から個人単位へ」は、福島さんお得意の分野であるだけに、こなれていて読みやすく、やさしい<家族>入門となっている。 第5章「高齢社会を生きる」、第6章「これからの死に方」は、まだ見ぬ世界へのおそるおそるの一歩という感じもあるが、「個として生きる」という底流は貫かれている。ここに紹介されている弁護士が生前に作った自分の「死亡通知」や、ある女性がパートナーに残している死に関する覚え書きなどを読むと、すがすがしい気持ちになる。ちなみに福島さんは、余命数ヶ月となったら親しい人をよんで、「ありがとう、そして、さようならパーティ」をやりたいと言う。彼女なら本当に実行しそうだ。

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