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子どもの貧困白書編集委員会編『子どもの貧困白書』明石書店 2009年

 執筆者は,学者,教師,学校事務職員,保育士,小児科医,保健師,社会福祉士,児童館職員,家庭裁判所調査官,高校生,大学生,大学院生,フリーター,NPOスタッフ,新聞記者等,総数105人にのぼる。
 それぞれの現場から明らかにされる子どもの貧困の現状は過酷であり,読み進めるのが辛い。
 給食のない保育園に昼食を持参できない保育園児。保護者が給食費を払っていないことを知って,切なくて給食を食べられなくなった中学生。給食のない夏休みに体重を減らす子どもたちもいる。国民健康保険の保険料が支払えない親が,子どもの具合が悪くても,病院での治療を諦めてしまう。貧困は,栄養障害や病気の原因となり,それらを重くする要因でもある。
 義務教育は無償であるとされているが,その内容は,教科書の無償にすぎない。学校給食費,学用品,通学費,クラブにかかる費用等は,個人負担である。そのため,修学旅行を諦めたり,クラブ活動を諦めたりしなければならない子どもたちがいる。就学援助を受ける子どもは年々増加しているが,国庫補助制度が廃止された2005年以降,105市区町村で財政上等を理由に基準の厳格化や減額が行われている。
 全国私学連の調査によると,学費滞納や経済的理由による高校中退の率も2007年,2008年と高止まりの深刻な状況である。学費滞納者には卒業を保留とし,学費納入後卒業証書を渡すという取り扱いをしている高校は,63.7%に及ぶ。
 貧困家庭の子どもは,進学を諦めるが,高校中退や中卒,就職も厳しい。貧困による教育格差は,貧困の世代間連鎖の原因となる。
 子どもの虐待の背景に貧困がある場合が少なくないことも,データをもって指摘されている。
 現場から指摘される問題点は,重い。しかし,執筆者たちは絶望しているのではない。子どもの貧困を見えるものにし,貧困をなくすための方策を共に考えようと呼びかけている。本書は子どもの貧困根絶のための祈りの書なのだ。
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