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横田増生『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』洋泉社 2009年

 著者は、フランスで子育てをした経験をもとに、日本の少子化の原因や日本が今後取り組むべきことなどについて本書で論じている。2008年の出生率は、フランスが2.02であるが、日本は、1.37である。日本では結婚したいという人の割合も、子どもを持ちたいという女性の割合も過去20年間で8割前後と高い数字であることに変わりないのに、出生率だけが大きく下がっている。日本では、子どもを持ちたいにもかかわらず、子どもを持てないのである。
 本書では、出生率が上がる理由として主に3つの視点を挙げている。1つは所得格差が小さいこと、もう1つは男女格差が小さいこと、最後は労働時間が短いことである。
 所得再分配機能が機能し、所得格差が小さいということは、子育てに関する社会福祉が充実していることにつながる。また、男女格差が小さいということは、子どもをもつ女性の働く環境が保障されていることにつながる。さらに、労働時間が短いということは、その分男女ともに育児、家事に参加できることにつながる。
 日本は、所得格差も男女格差も大きく、そのうえ、長時間労働が重なっていることから、出生率が上がらないという状態にある。
 筆者によると、出生率を単に女性が産む子どもの数の多寡としてではなく、社会がどれほど生きやすいかを表す指標の1つとしてとらえられると述べているが、納得する。子どもを持ちたいのに、子どもを持てないような社会は、まさしく生きにくい社会といえる。
 男も女も仕事も家庭も両立することを社会全体の主流とみなし、それに合わせて男女の働く環境を整え、子育てを社会全体で担っていくという共通認識と仕組みを作ることが大事であるという筆者の考えには共感する。
 筆者は、日本が今後取り組むべきこととして、2つを挙げる。1つは、現行の改正労働者派遣法を1999年前の状態である「派遣は専門職に限る」という原則に戻し、企業は働く労働者の賃金とその生活設計に今以上に大きな責任を負うことを明確にすること。もう1つは、増税を通じて社会福祉の充実を図ること。
 子育てという人生の困難な時期を税負担などを増やしても社会全体で乗り越えようと考えることができるか、まさしくこれからの日本人の考え方が問われるものといえよう。
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