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辻村みよ子著『憲法と家族』日本加除出版 2016年

 憲法の中の家族生活に関する条項である憲法24条について、教科書でしっかりと言及してきた憲法の研究者は非常に数少ない。その数少ない研究者のうちの1人であり、24条のリーダー的存在でもある著者が、2015年12月16日の夫婦別姓訴訟判決及び同日の再婚禁止期間についての判決が出た後に、精力的にまとめあげた1冊である。
 T章の「世界の憲法からみた現代家族の変容」では、家族をめぐる憲法規定の比較憲法的考察や国際人権条約等における家族規定、フランスのパクスから同性婚法への流れ、生殖補助医療・代理出産をめぐる比較法と日本の議論の状況等、家族モデルと日本の現代家族の特徴について、U章では、憲法制定時の家族像、憲法24条の位置づけ、家族と憲法を議論する際の中心となる憲法13条、14条、24条について、家族法規定の合憲性をめぐる問題(民法の婚姻適齢、再婚禁止期間、夫婦別姓、婚外子相続分)を扱い、V章では、最近の一連の家族に関する最高裁判所判例を紹介、W章では、日本の改憲論の動向、民法改正の動向を語り、終章では、新しい家族、社会にみあう法改正を、と方向性を示して締めくくる。
 とりわけ、2015年12月16日の夫婦別姓訴訟については、現代の家族像、法のかかわりかた等の象徴ともなっており、その評釈に著者は18頁も割いている。我々実務家からみれば、さらに予想される次の訴えの論理構成につき、研究者の評釈は大きなよりどころとなる。判決後1年以上を経ても、多くの憲法、民法学者から判例評釈が出続けていることが、この訴訟への関心の大きさをものがたる。また、それだけではなく、こんなに多くの家族と憲法の論点が裁判という舞台にのり、議論された時期は、かつてなかった。
 一方、24条の改憲論が声高にでてきている昨今、本書のような論理的なアプローチは非常に重要である。(F)
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