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『円地文子――ジェンダーで読む作家の生と作品』小林富久子 新典社 2005年

 円地文子といったら、『女坂』に代表されるように、どうもおどろおどろしい女の性(さが)を描いたいわゆる「女流作家」という印象がある。
 しかし、60年という長い作家生活はそんな一色のものではなくて、その時代時代の影響を大きく受けて、作風やテーマが変化している。
 国語学者の父をもち、江戸時代のにおいを身につけた祖母に歌舞伎などの手ほどきを受けた円地は日本の古典の素養を備えて、後年、独自の源氏物語訳という大きな業績を残すが、プロレタリア文学、戦争文学の波をかぶりながら、女性の「性」を大胆にとりあげ、両性具有的な人間像を作品に残すにいたるまで、文学も個人の生活も波乱万丈である。
 円地の生涯を縦糸に作品とその読み込みを横糸にしたこの評伝は、読み応えがあり、興味深い。円地の数多い小説の紹介が手際よくて面白く読める。
 ジェンダー視点で読み直している点で、いまではやや古めかしいと思われる円地作品に新しい光を与えている。
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