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「性」と政治(年報政治学2003)(岩波書店)

 日本政治学会の年報のタイトルに「性」が現れたのは、はじめてだろう。私が学生の時にシニカルに言われていた。「政治学というのは横文字を立てただけの学問」だと。ところが、「ジェンダー」は例外で、この横文字を縦にすることを政治学者たちは長い間してこなかった。それは、多分、研究者の性別の偏りとも大きな関係があるのだろう(日本政治学会の会員のうち、女性が占める割合は約8%という)。
 だから、きっとこの年報は革命的といってもいいのではないか。政治学会では実際にどのような議論がどのような人によってなされたのか、野次馬的興味がある。
 本年報の序論「なぜ『性』か。なぜ今か。」(渡辺浩執筆)は、まず「ジェンダー」の定義から稿を起こしている。そして「政治参加」というタイトルのもと、たとえば「女性が政治にあまり関心をもたないというのが日本の伝統でしょう。文化でしょう」という一般的な疑問に答えながら、「政治学において、なぜ「性」の観点が必要なのか」をまことに具体的に説いて説得力がある。何十年ぶりかに政治学年報を手にした私としては、政治学者も一般の人に読めるものを書く努力をするようになったのだと感慨深い。そして彼は、「政治学者たるもの、何かを研究する際には、先ず、『これはジェンダーとは、どう関連するだろうか』『ジェンダーの視点から眺めると何が見えるだろうか』等と自問してみる必要がある」と結論づけていて、実に歯切れがいい。
 その他に、「女性をめぐる政治的言説」(岩本美砂子)、「ジェンダー化する政治」(竹中千春)、「ジェンダーと国際関係」(御巫由美子)など、興味深い論文が並んでいる。

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