判例 女友だち 映画ウォーキング 情報BOX わがまま読書 リンク おたより欄
わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
(1)『使いこなそう! ドメスティック・バイオレンス防止法』(福島瑞穂・明石書店  ・2001)
(2)『ドメスティック・バイオレンス防止法』(戒能民江編著・尚学社・2001)
(3)『ドメスティック・バイオレンス(新版)』(「夫(恋人)からの暴力」調査研究会・有斐閣.2002)


いよいよ今年の4月からドメスティック・バイオレンス防止法が全面的に施行される。
 この法律は、警察も「民事不介入」という錦の御旗のもとに無策であった家庭内で行われる夫から妻への暴力を防止し、実際に暴力があったときは保護命令(接近禁止命令と退去命令)がだされ、それに違反したときは懲役または罰金が科される。長いこと「ない」ものとされていた「夫からの暴力」に対して、女性たちが重大な人権侵害だと声をあげた。その運動を背景に、議員立法によって成立したものである。
 ほんの5年前には、ドメスティック・バイオレンスということばはほとんど知られていなかったし、日本にはそんな暴力などないと公言した人がたくさんいる。まして、「妻のそばに夫が近づけない命令」などといったら嘲笑されたものだ。
 女たちが法律を作り、社会を変えていくという優れた実例である(それまでに積み上げられた犠牲を思うと胸が痛い)。
 この法律の解説書、制度利用のためのハンドブック類はたくさん出版されているが、ここではこの法律制定のために力を尽くした人の著書を3点紹介する。
 (1)は、法律が一部施行された昨年10月に合わせていちはやく刊行された。Q&A方式を用いて実際の疑問になるべくわかりやすく答えようとしている。たとえば、6か月の接近禁止命令と2週間の退去命令の関係について、それまで夫とくらしていた家から2週間出ていってくれ、その後私が暮らしているところに近づかないでくれという意味で、一緒に暮らしていた家から夫を2週間追い出した後、引き続きその家に夫を6か月近づけさせないということは残念ながら出来ない、と。
 (2)は、ドメスティック・バイオレンス防止法の審議のなかで行われた「諸外国における女性に対する暴力についての施策」調査研究の一環として5人の研究者が協力、執筆している。台湾の法律の紹介や日本の裁判におけるドメスティック・バイオレンスのあつかわれかた、新聞報道におけるドメスティック・バイオレンスなど、多角的に問題点を摘出している労作。今後の運用、3年後の見直しに向けての必読文献。
 (3)は、日本でいち早くこの問題にとりくみ、先駆的な実態調査を行ったグループが執筆。メンバーは研究者、法曹実務家、実際に相談にあたっているカウンセラーなど。4年前に刊行された初版はDV法策定の時のバイブルといわれた。それに法律の解説を加えて全面的に改定している。本書の特徴はドメスティック・バイオレンスを生み出す社会的構造にメスをいれていること、さらには性差別根絶法のような基本法を作るという長期的なビジョンを示していることである。
 3冊とも法律全文をはじめとする資料も充実しているので、目的に応じて1冊家庭に備えることをおすすめしたい。


Copyright(C) 2001 GAL. All Rights Reserved.
 
TOP BACK