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日本弁護士連合会編「災害復興―東日本大震災後の日本の在り方を問う―女性こそ主役に!」日本加除出版 2012年

 3・11から1年。この日を中心にしてマスコミは被災後1年の復旧・復興への足取りを追った。しかし、海は穏やかであったが、瓦礫はまだ積み上げられたまま、津波の爪あとはまだまだ生々しく、放射能に追われた村人が去った村は静まり返っていた。除染された運動場は傷だらけの大地となり、無人の中学校の校庭には除染された土が積み上げられたり津波で流され破壊された自動車の集積場となり、復興への道ははるかに遠く思われるばかりで、そこで生きる人の苦しみを思うと胸がつまる。
 本書は被災後半年の9月始めに日弁連主宰で開かれたシンポジウムのまとめである。そのため避難所生活における生活の現状報告とその問題点、および東日本大震災復興構想会議の問題点に重点が置かれている。だが、そのなかでも今回の甚大な被災をもたらした原因の大きな要素に人災があるという社会構造へのメスとそれを克服する提言を行う大澤真理(「危機や災害にタフな社会を構築するために」)、林陽子(「災害復興とジェンダー」)の論文は読み応えがあり、10ページとか12ページでは納まりきれない内容を持っていてもったいない。また、避難所生活におけるジェンダー差別の指摘も具体的で、テレビ画面に出てくる我慢強い東北の人々の表情に隠されているものに迫っていて、貴重な証言が記録されている。
 1日も早く本を作り政策に反映させたいという希望からか、当日のシンポをそのまま収録しているのは惜しい。着眼点の良いシンポだっただけにその内容をベースに書き込んであったなら時宜を得た鋭い問題提起の書になっただろうに。資料ももう少し充実させることができたのではないだろうか。(巳)
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