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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
原ミナ汰・土肥いつき編著『にじ色の本棚 LGBTブックガイド』三一書房 2016年

 本が好き、本好きの文章も好き。本著の「はじめに」にあるように、「本には不思議な力があります」。たとえば、「道に迷ったときに、行き先を指し示す道しるべの星のような力」、たとえば、「人と人をつなぐ“もやい”のような力」、たとえば、「自分のまわりにあるモヤをふりはらう太陽のような力」。「はじめに」にはないけれど、このほかにも、「深刻に考え込んでいたのにくすくす読んでいるうちにほどけてきて、あれ?さっきまで何深刻になってたんだっけ?とほぐしてくれる力」なんかもある。「本のもつ不思議な力に魅入られた46人の執筆者」によるブックレビュー、読まないわけにいかない。
 「LGBT」という言葉はよく知られるようになった。しかし、まだまだカミングアウトは困難であり、孤立感のなかに置かれた当事者も少なくない。LGBTであろうとなかろうと、LGBTは遠い世界のことではなく、すでにともに生きているというのに。
 性的志向、性自認の基盤となるセクシュアリティ。セクシュアルマイノリティは、社会的に認知されていないからこそ、「自分とは何者か」をとことん自問自答して成長することが多い。しかし、多数派といわれる性別違和のない異性愛者も、生きていく上で、「自分とは何者か」を考えていくことは、必要なプロセスのはずなのだ。その問いを考えていく上で手がかりとなる本の数々が紹介されている。
 いや、単なる「紹介」に留まらない。1冊たった見開き2頁ずつのレビューだが、執筆者が、自分に問いかけ、悩み続け、あるいは、他者と出会う中で傷つき、気づいてきたこと、すなわち人生を生きてきたことが凝縮されていて、揺さぶられる。そして、「多様なものさし」が文化を、社会を豊かにしてきたことにも目をひらかれる。ぞして、社会のなかで様々な不具合を感じるマイノリティだからこそ、社会のいびつさに気づき、制度のよりよい形を提言できることにも。
 「問題山積み。しゅーりょーっ、て終わることができればいいけど、終わらない!だって、生きてるし。生き続けるし。」という一節が紹介されている『思春期サバイバル―10代の時って考えることが多くなる気がするわけ。』(ここから探検隊著、はるか書房、2013年)、などなど、思春期ははるかかなた、忙しい忙しいと自分に向き合うこともすっかり面倒になった私でも、なんだかぐっときて、この本を読みたい!と思わせてくれるレビューがたくさんある。医療や法律、教育の場でサポートする人向けの基礎知識や留意点の本も紹介されており、コンパクトながら充実の一冊だ。(良)
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