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上野千鶴子・古市憲寿共著『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります−僕らの介護不安に答えてください』光文社新書 2011年

 読み始めたら止まらない、非常に楽しく、かつためになる対談である。
 古市憲寿さんは団塊世代の両親に育てられた1985年生まれの社会学者であるが、親世代の上野千鶴子さんとの間で、ポンポンと本音をぶつけ合う。古市さんが、「親が苦しんで死んでいくのを見たくないじゃないですか」と言えば、上野さんが「それは愛情からではなく、ウザいから?」と投げかけ、古市さんが「愛情も半分くらいありますけど、あとは怖いのと、ウザいのと…」と答えると、「あなた、この本出したら家庭崩壊しない?」と心配する。このような軽快なやり取りの中で、介護保険のこと、両親の老いへの心構えやお金のことなど、介護にまつわる諸問題が非常にわかりやすく語られる。さらに、話題は、少子化対策、世代間格差、若者の将来不安等にも及び、何事にも斬新な視点で光をあてる上野さんに対してはもちろん、古市さんのナビゲートのうまさにも感心させられた。
 古市さんと同じく団塊世代の両親に育てられた私(ただし、第二次ベビーブーム世代であるため、古市さんよりかなり年上)は、古市さんと同じ目線で読んでしまうのだが、どの世代の方が読んでも引き込まれるはずである。特に若い世代には、上野さんのベストセラーである『おひとりさまの老後』より、こちらが向いているかもしれない。
 (上野さんがいうところの)「タテの関係ではなく、ナナメの関係…無責任に愛せる祖母と孫、あるいはちょっと話のわかる叔母と甥のような関係」にあるからであろうか。世代も価値観も大きく異にするお二人が、対談後にお互い「世代の違う親友になれたらうれしい」と意思表明して終わるため、あたたかな気持ちで本を閉じることができる。                    (渕)
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