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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
西原理恵子著『スナックさいばら おんなのけものみち 生きてりゃいいじゃん、笑っとけ篇』角川書店 2014年

 サイバラママと本音のガールズトーク(男性だって大歓迎☆)、スナックさいばら、おんなのけものみちシリーズもすでに第5弾。全部を読んでいるわけではないけど、女たちのイタイ話や黒い話、泣ける話と、サイバラママのツッコミといたわり、既に馴染みきったのり、だから「これにてひとまず閉店」なんだろうなとわかる気も。わかるけどやはりサイバラはいいなあ本当に。
 いきなり、「カラダ目当てとは言わせない!年下男にハマるワケ」からスタート。いくつになっても、何もかもが重力に負けるようになっても、恋愛でときめき。それも年下の男に。いいじゃないの、それ。「あるもん、食べ!」おなかを壊さんかったら、上出来や。「いいね!」と、ノリよく読み進めたいものの、弁護士という仕事柄、つい、「バレたら、安くない慰謝料を払うことに…」とはらはらする。
 「天敵」の回では、いまもなお、出るわ出るわ、嫁姑の確執。サイバラはちゃんとわかっている。「真の天敵はお姑さんじゃなくて、『ママがしてくれたことを、僕にしてほしい』っていう男の超保守的結婚観です」。それを受け継いだら次世代に引き継ぐことになってしまう。受け継がない、引き継がない。離婚した元夫を天敵とする投稿者には、平和になると、お化けがでちゃうんだ、と理解する。サイバラも未だに追いかけてくるアル中の鴨ちゃん(元夫)を思い出してしまうそうだ。ばあちゃん(サイバラのお母さん)も、自殺したDV夫を思い出してしまう。でも、人のことを憎んで、憎む気持ちで自分の心の中がいっぱいになるのが、地獄。あなたのために、そこから脱け出そう。悪霊を退散させよう。どうしたら?サイバラは、心がけ次第、なんて抽象的な助言はしない。サイバラのところにも、犬や猫がきて、とってもよくなった。ひまだとろくでもないことを考えてぷんぷんしていたサイバラもばあちゃんも、猫がにゃーんとやってくると、可愛い可愛い、可愛いもんで憎いもんをちゃらに出来る。
 随所でサイバラはいう。あなたのためにその不毛な憎しみの地獄道から現実に戻ろう。憎くて憎くて、くっそ、仕返ししてやりたいっ。そんなときには、そろばん。仕返しして、自分の人生が台無しになったら、大損。しょーもないひととやったって、何が得になる?正論だ。
 子どものための終活。財産の多寡にかかわらず相続争いは生じかねないので、きっちりと(弁護士として大いに頷く)。ゴミ屋敷ほどでなくても始末は大変なので、物を捨てておく(隠したいものも、確実に…)。人生のスピードを落とす。この大切さに感じ入っているのは、働くばっかりだったサイバラが大好きな人(高須先生の言葉があちこちに出て来る。本当に好きなんだな〜とほのぼの)に出会って、変わったところ。
 最終章の「私はこうして家族を看取りました」は、間もなく母の三回忌を迎える私には、切なくてならなかった。「幸せって、最後の最後で上書きできる」。そうであったかなあ、そうだといいのだけど。ああしてあげたらよかった、こうしてあげたらよかった、と今も後悔が渦巻く。後悔が尽きない投稿者に、サイバラは優しい。どんなに尽くしても、後悔するものだと。でも、そういわれても、後悔はおさまらないものだ。
 このシリーズにもサイバラのどの本にも、「前だけ見て、笑いましょう」「女も男に依存せず、自分の足で生きましょう(恋愛は大いに結構、ただし恨み節はなし)」という前向きなメッセージが滲み出ている。それが嫌味にならないのは、サイバラがかつて大変な経験をしてきたから。劣等感や憎しみも散々経験してきたから、おばちゃん風な毒舌のようで、とてもとても優しいからだろう。
 なんか同じテイスト。と思っても、このテイストこそ好きだから、止められない。(良)
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