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わがまま読書 独断と偏見に満ちたこむずかしくない読書案内です。教科書からマンガまで。
太田康介著『しろさびとまっちゃん 福島の保護猫と松村さんの、いいやんべえな日々』角川書店 2015年

 白猫のしろ、さび柄猫のさび、福島の保護施設前に捨てられた姉妹猫は、2013年、まっちゃんこと松村さんにもらわれる。松村さんは、福島第一原発近くの富岡町にひとりとどまり、警戒区域20q圏内に取り残された動物たち(猫に優しい犬、猫に容赦ないダチョウ、イノシシ、ポニー、序列があり放っておくと弱いものは食べられなくなるので配慮が必要な30数匹の牛)と暮らしている。日本でよりも海外のメディアに「福島のラストマン」として著名な存在だという。
 国や東電に対する非難など一切なく、緑の中でゆっくり猫と遊びながら散歩する松村さん、ダチョウに追いかけられたりくぼみに顔をつっこんだりするしろ、のんびり昼寝するさびなどの写真がひたすら続く。深い緑、若葉色の緑。緑にもいろいろあると目を見張る。どこまでも美しい景色、幸せそうな動物たち。やみくもに掘り起こされ真っ黒な土がむき出しになった「除染」された地域もきっとこのように美しかったにちがいない。そして、飢えて死んだ動物たちも、このような生活ができたはずだ。そう思うと糾弾など一切なくても、美しい自然、ここで平穏に暮らしていた動物たち、人間たちを襲った災厄の大きさに目がくらむ。
 一枚一枚にじいっと見入ってしまう。大切にしたい。(良)
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