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『お笑いジェンダー論』(瀬知山 角・勁草書房)

 関西人と言うだけでおもしろいと思っている男は、合コンで間違いなく嫌われる。
 関西弁を話す、イコールユーモアのセンスたっぷりだと勘違いされても困る。当たり前過ぎるし、意外性がない。だから嫌われる。関西弁とジェンダー論――この一見何のつながりもなさそうな2つのキーワードを見事につなげてみせ、ジェンダー論やフェミニズムに「意外性」の風を吹き込んだのが、瀬地山角(せちやま かく)その人だ。これだけ自らが関西人だと意識していても決して嫌味でないのは、この人が持つキャラクターなのだろう。瀬知山角という読みづらく、男か女か(はたまたその他の性か)分からない名前に加えて、『お笑いジェンダー論』というタイトルからして笑える。
 誤解を恐れずに言えば、フェミニズムやジェンダー論に足りなかった要素はこの笑いだ。パイオニア的に、フェミニズムを率いて来た方々の功績は大きい。女性差別の厳しい現実に直面して、とても笑ってなどいられなかったはずだ。けれども、これだけジェンダー論がメジャーになった今日でも、それと聞くとどうも手垢にまみれたフェミニズムの印象がぬぐいされない。若い人たちにとってジェンダー論をとっつきにくい存在にしてしまった、彼女・彼らの罪は重いのかもしれない。
 ただ、瀬知山も言うように、本書は「フェミニズムを笑う」、つまりフェミニズムの旗手として、第一、第二世代を担ってきた方々の功績を否定するのではなく、「フェミニズムで笑う」試みなのだ。例えば、「ハゲとチビ」の話や「ヒツジ」の話でガハハと笑い、著者の娘美瑛ちゃんのエピソードでほろりとさせられる。その語り口は、さながら難波花月か松竹新喜劇か。もちろん「家父長制」に関する骨太な議論もいい(こちらは瀬知山角『東アジアの家父長制』に詳しい)。

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